そのレポートによると、Netflixの今年の収益は前年比12%増の40億ドル超となり、2022年に発表したAPACの収益増加率9%からも大幅に上昇すると予測されている。欧米では加入者数の増加やユーザー1人当たりの売上(ARPU)がほぼ頭打ちになっているため、アジアの主要な経済圏や人口密集地での業績は、Netflixにとって重要な指標になっているとのことだ。
その中でも日本は、2023年のNetflixのAPACにおける総収入の4分の1以上を占めることから、同地域におけるNetflixの展望にとって特に重要であると考えられている。
Netflixは従来のアニメ偏重だけでなく、実写(スクリプテッド)作品でのインパクト拡大を成長の鍵としているという。この「実写作品への投資拡大」という海外からの予測を裏付けるように、Netflixは日本国内において、コンテンツ制作体制の強化を急速に進めている。
その象徴的な動きの一つが、TBSホールディングスが出資する制作会社「THE SEVEN」との戦略的提携だ。Netflixは今後5年間にわたり、同社と協力してハイエンドな映像作品を共同開発し、世界190の国と地域へ独占配信する。 THE SEVENには、「今際の国のアリス」を手掛けた森井輝プロデューサーや、VFXの第一人者である赤羽智史氏らトップクリエイターが集結。さらに、緑山スタジオ・シティには約300坪の配信コンテンツ向け撮影スタジオを、赤坂には専用VFXルームを新設するなど、世界標準のスペックを備えた制作環境を整備している。
クリエイティブ面での提携も強化している。映画『余命10年』や『新聞記者』などで知られるコンテンツスタジオ「BABEL LABEL」とも、5年間の戦略的パートナーシップを締結。 藤井道人監督をはじめとする気鋭のクリエイター陣と共に、大型企画の開発に着手している。BABEL LABELの強みである現代社会を鋭く切り取るストーリーテリングは、Netflixが求める「国境を超える普遍的なドラマ」との親和性が高い。日本発のコンテンツを世界へ届けるためのパイプラインは、着実に太くなっている。
新作の開発と並行して、既存の優良コンテンツの発掘も好調だ。日本テレビの長寿番組「はじめてのおつかい(英題:Old Enough!)」は、Netflixでの配信をきっかけに世界的なバイラルヒットを記録した。 2023年1月からはシーズン2の配信も開始され、海外ファンの要望に応える形で「あれから○○年…」という追跡特集も追加されている。この成功は番組フォーマットの海外販売にも波及しており、日本のテレビ局が持つアーカイブ資産が、Netflixというプラットフォームを通じて新たな価値を生み出した好例だ。
なお、MPAの社内調査によると、2022年のAPACにおけるNetflixの総視聴数のうち、韓国ドラマが28%を占め、次いで米国シリーズが25%、米国映画が12%、日本アニメが10%、その他の英語コンテンツが6%と続き、その他の地域のコンテンツカテゴリーはパイが小さい(東南アジアコンテンツ5%、中国語3%、インド2%)ことが判明した。さらに「NetflixのAPACコンテンツへの投資は、世界的な影響力を持っている」とし、「日本の代表的なシリーズやアニメは、韓国のドラマや映画、インドネシアやインドの映画とともに、2023年1月までの過去12ヶ月間、世界でトップにランクインしている」と、MPAのリードアナリスト兼コンテンツインサイト担当のディヴィア・T氏は述べている。
MPAの子会社AMPD Researchのデータによると、2022年にNetflixは29本の独占韓国ドラマをリリースし、そのうち6本は2022年にAPACでトップ10に達している。また、韓国のリアリティ番組の国際的な成功も高まり、2023年初めには「脱出おひとり島」シーズン2と「フィジカル100」がトレンドとなっている。




