そのレポートによると、Netflixの今年の収益は前年比12%増の40億ドル超となり、2022年に発表したAPACの収益増加率9%からも大幅に上昇すると予測されている。欧米では加入者数の増加やユーザー1人当たりの売上(ARPU)がほぼ頭打ちになっているため、アジアの主要な経済圏や人口密集地での業績は、Netflixにとって重要な指標になっているとのことだ。
その中でも日本は、2023年のNetflixのAPACにおける総収入の4分の1以上を占めることから、同地域におけるNetflixの展望にとって特に重要であると考えられている。「日本はNetflixがアニメ以外の新しい脚本番組でインパクトを拡大しようと努力しているため、引き続き成長すると思われます」とMPAのエグゼクティブディレクターであるヴィヴェック・クート氏はコメントしている。国際市場でみると、日本は物理メディアから動画配信への移行が緩やかで、小規模なローカルプレーヤーが多数存在している。また、ヨーロッパや北米の先進国市場と比較してSVODの普及率が比較的低いにもかかわらず、業界再編はすでに進行している。現状として、国内ではAmazonプライム・ビデオがストリーミング市場をリードしているが、Netflixもアニメやその他のオリジナルコンテンツを増やし強い存在感を示している。
なお、MPAの社内調査によると、2022年のAPACにおけるNetflixの総視聴数のうち、韓国ドラマが28%を占め、次いで米国シリーズが25%、米国映画が12%、日本アニメが10%、その他の英語コンテンツが6%と続き、その他の地域のコンテンツカテゴリーはパイが小さい(東南アジアコンテンツ5%、中国語3%、インド2%)ことが判明した。さらに「NetflixのAPACコンテンツへの投資は、世界的な影響力を持っている」とし、「日本の代表的なシリーズやアニメは、韓国のドラマや映画、インドネシアやインドの映画とともに、2023年1月までの過去12ヶ月間、世界でトップにランクインしている」と、MPAのリードアナリスト兼コンテンツインサイト担当のディヴィア・T氏は述べている。
MPAの子会社AMPD Researchのデータによると、2022年にNetflixは29本の独占韓国ドラマをリリースし、そのうち6本は2022年にAPACでトップ10に達している。また、韓国のリアリティ番組の国際的な成功も高まり、2023年初めには「脱出おひとり島」シーズン2と「フィジカル100」がトレンドとなっている。
その他のアジアのコンテンツは、インドの「ミスマッチな関係!?」シーズン2、タイの『真実の穴』、台湾の「ママ、やめて!」、インドネシアの『ザ・ビッグ4』を筆頭に人気を集めている。併せて、Netflixの「ストレンジャー・シングス 未知の世界」や「ウェンズデー」などの英語版オリジナル作品も、APACで好調に推移しているとのことだ。