4期連続で加入件数減少のWOWOW、解約防止の切り札に10億円を投資か【決算から映像業界を読み解く】#3

WOWOWの加入者数減少に歯止めがかからない。

ビジネス 決算
4期連続で加入件数減少のWOWOW、解約防止の切り札に10億円を投資か【決算から映像業界を読み解く】#3
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WOWOWの加入者数減少に歯止めがかからない。

2023年3月期は5万件の加入者数減少を見込んでいたが、2022年10月末時点ですでに8万件以上減っている。加入者数の減少が予想を大幅に上回ると、WOWOWの通期業績の下方修正要因ともなりかねない。由々しき事態だ。

WOWOWはコロナ特需の恩恵を受けることなく、業績は悪化の道を辿っている。これまでは広告費をかけて新規加入者の獲得に力を入れていたが、そのやり方が通用しなくなり、大きく転換し始めた。ビジネスモデルが揺らいでいるのだ。

✅記事のポイント


  • 営業利益率は3年で7.3ポイントの下落。収益性低下は加入者数の減少が原因か

  • 広告費を削減し、新規加入者数の獲得単価を下げることに成功。

  • 解約阻止の切り札となる「システム開発」に投資か

10%台だった営業利益率は3年で3%まで低下

WOWOWの2022年3月期の売上高は前期比0.6%増の796億5,700万円、営業利益は同22.4%減の52億6,800万円だった。何とか増収に持ち込んだものの、2期連続減益。2023年3月期の売上高は前期比4.0%減の765億円、営業利益は同56.3%減の23億円を見込んでいる。大幅な減益予想を出した。予想通りの着地で3期連続の減益だ。

本業で稼ぐ力を表すWOWOWの営業利益率は、2020年3月期の10.3%から3.0%まで低下する見込み。3年で7.3ポイントも落とすことになる。

決算短信より

2017年3月期の営業利益率は13.0%でテレビ事業を行う会社としては、高利益体質の会社だった。同時期のフジ・メディアホールディングスの営業利益率は3.4%だ。

収益性を落としたのは加入者数が減少しているからに他ならない。2001年以降、加入者数は2018年度に290万のピークを迎えたが、2021年度は268万人まで減っている。

有価証券報告書より

特に2019年度からの減少が著しい。

WOWOWはかつて加入者数の減少に苦しんだ。2005年度に減少に歯止めがかかり、増加に転じたV字回復は現在も奇跡として語られることが多い。このとき、WOWOWは日本では馴染みの薄かったカスタマーサクセスを社内に根付かせた。

カスタマーサクセスとは、加入者の契約期間を伸ばす手法の一つ。ライフタイムバリュー(顧客生涯価値)を最大化し、解約数を減らす取り組みを指す。WOWOWは家電量販店などに加入者の獲得を依存していた。そのため、WOWOWが提供するコンテンツと顧客が求めるものにミスマッチが起り、解約率が高まるという課題を抱えていた。

WOWOWは定着率の高い顧客の調査を行い、どのような経路で加入へと至った加入者が優良顧客となるのかを割り出した。そのパターンを新規獲得に転用し、解約率を抑えることに成功した。

WOWOWは民放キー局にはない番組を提供することで、加入者を囲い込むことができた。しかし、2018年ごろから動画配信サービスがいっきに普及すると、視聴者は選択の幅が広がる。WOWOWは月額視聴料が2,300円。Netflixなどと比較すると割高だ。競合の台頭により、WOWOWは加入者数を急速に失った。

新規加入者数の獲得単価を下げることに成功


加入件数推移より


《不破聡》

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