国連開発計画(UNDP)と一般社団法人Arc & Beyondは2026年10月19日、アフリカにおけるアニメーション人材育成事業に関する契約(Low Value Grant Agreement)を締結したと発表した。日本政府の支援を受け、アフリカ全土の若手アニメーター約100人を対象に、「第二原画工程」を中心とした5週間のオンラインプログラムを実施する。アフリカの若者の雇用創出とクリエイティブ産業の発展を目指すとともに、日本のアニメーション産業との接点づくりも狙う。
日本式制作工程「第二原画」を中心とするカリキュラム
カリキュラムは日本とアフリカの専門家が連携して開発し、第二原画工程を中心に構成する。第二原画は、原画マンが描いたラフな原画を清書し、動画工程に渡せる状態に整える工程で、日本のアニメ制作パイプラインの重要な作業の一つだ。
オンライン講座はアフリカのアニメスタジオと連携して実施する。プログラム期間は5週間で、アフリカ全土から約100人の若手アニメーターが参加する予定である。修了後には、優れた成果を示した参加者を対象に、アニメーション業界との接点づくりやキャリア創出につながる取り組みも検討している。
若年人口の増加を背景に、クリエイティブ産業を雇用の受け皿へ
事業の背景には、アフリカが抱える雇用問題がある。アフリカでは若年人口の増加に伴い雇用創出が重要課題となっており、アニメーションやゲームなどのクリエイティブ産業は、新たな雇用と経済成長を生む有望な分野として注目されている。一方で、専門的な教育機会や国際市場との接点は依然として限られており、若手クリエイターが能力を発揮し、持続的なキャリアを築ける環境の整備が求められている。
UNDP南アフリカ常駐代表のMaxwell Gomera氏は「アフリカの若いアニメーターたちは、その創造性を世界に発信し、キャリアへとつなげる機会を得られるべきだ」と述べた。さらに「アフリカには創造性が不足しているわけではない。私たちの責任は、その創造性が正しく認識され、支援され、持続可能な生計につながる環境を整えることだ」とし、開発支援の観点から本事業の意義を強調している。
「TAIDO」のネットワークを活用し、日本とアフリカの共創基盤を築く
Arc & Beyondは、日本とアフリカのアニメーション共創プロジェクト「TAIDO」を通じて培ってきたネットワークを活かし、教育プログラムの設計や専門家・関連機関との連携を推進する。
両者は本事業を通じて、参加者が日本のアニメーション産業とつながり、国際的なネットワークを広げる機会をつくるとしている。将来的には、日本とアフリカのクリエイターが相互に学び合い、新たな創造的協業の可能性を探ることも目指す。若手の能力向上やキャリア機会の拡大にとどまらず、両地域のクリエイティブ産業の間に持続的な連携基盤やパートナーシップを構築することが期待される。
Arc & Beyond代表理事の石川洋人氏は「アフリカには豊かな文化や物語、そして優れた才能がある。それらが世界に愛される新しいエンタテインメントの種になり得る」と評価する。一方で、「その種が国や地域を越え、多くの人に届く作品へと育っていくための学びや挑戦の機会はまだ十分とは言えない」と課題を指摘し、「日本とアフリカのクリエイターが共に学び、成長し、新たな共創の可能性を広げていきたい」と述べている。

