日テレHD、2026年度第1四半期は純利益53.2%増の226億円。W杯放送で営業減益も、株売却益とKANAMEL効果で最終増益

日本テレビHDは2026年度第1四半期に売上高1,145億円と横ばい、営業利益は110億円で36.6%減となった。FIFAワールドカップ2026の放送に伴う番組制作費増が主因。一方、政策保有株の売却益196億円やKANAMEL子会社化に伴う段階取得差益の計上により、親会社株主に帰属する四半期純利益は226億円と大幅増益を達成した。海外・配信ビジネスは78.6%増と急伸。

ビジネス 決算
日テレHD、2026年度第1四半期は純利益53.2%増の226億円。W杯放送で営業減益も、株売却益とKANAMEL効果で最終増益
日テレHD、2026年度第1四半期は純利益53.2%増の226億円。W杯放送で営業減益も、株売却益とKANAMEL効果で最終増益

日本テレビホールディングス(HD)は7月31日、2027年3月期第1四半期(2026年4月1日~6月30日)の連結決算を発表した。売上高は1,145億9,500万円で前年同期比0.0%減とほぼ横ばいだったが、営業利益は110億7,500万円(同36.6%減)、経常利益は146億5,800万円(同32.8%減)と、どちらも3割を超える減益になった。

営業段階で利益を削ったのは、6月に開幕したFIFAワールドカップ2026だ。番組制作費がかさんで売上原価が膨らんだ。ところが親会社株主に帰属する四半期純利益は226億5,600万円(同53.2%増)と大きく伸びている。政策保有株を売却して得た投資有価証券売却益196億3,700万円を特別利益に計上したことが効いた。

今四半期の戦略面での目玉は、前年度から進めてきたCM制作大手・KANAMELの完全子会社化が、いよいよ業績に効き始めた点だ。483億円を投じたこの大型M&Aは、中期経営計画が掲げる「グローバルコンテンツ企業への変革」を形にする一手と位置づけられている。

W杯でタイム収入増も、スポット反動減で営業利益は36.6%減

中核の日本テレビ放送網単体の広告収入は、タイム・スポット・デジタルを合わせて571億7,200万円(前年同期比2.3%減)だった。

中身を見ると明暗がはっきり分かれる。番組スポンサー収入にあたる「タイム収入」は、ワールドカップの放送効果もあって275億3,000万円(同11.2%増)と大きく伸びた。対照的に、CMの投下量に左右される「スポット収入」は273億9,100万円(同12.2%減)と落ち込んだ。前年が好調だった反動に、在京キー局間でのシェア低下も重なった格好で、地上波広告市況の厳しさが改めて浮き彫りになっている。

営業費用は、スポット収入の減少で代理店手数料が減ったものの、ワールドカップの番組制作費が膨らんだことが響き、前年同期比6.5%増の1,035億2,000万円に達した。これが営業利益を64億円押し下げている。

グループ会社は総じて堅調だ。「Disney THE MARKET 2026」などが当たった日本テレビサービスが増収増益となるなど、連結8社が過去最高売上、2社が過去最高営業利益を記録した。

株売却益196億円とKANAMEL差益で最終利益は53.2%増

営業減益にもかかわらず最終利益が大きく伸びたのは、二つの特別利益があったからだ。

一つは、政策保有株の縮減方針に沿って上場株1銘柄の一部を売り、計上した投資有価証券売却益196億3,700万円。もう一つが、KANAMEL完全子会社化にともなう段階取得に係る差益10億8,100万円である。これらを軸に特別利益の合計は207億6,800万円に上り、営業段階の減益を補って余りある形で最終利益を押し上げた。

KANAMELは、AOI Pro.、TYO、TREE、FMX、FMSを中核に、国内外26社を抱えるホールディングスだ。売上高783億円(2025年12月期)、従業員1,956名を擁し、広告映像制作の市場では国内トップシェアを持つ。カンヌ国際映画祭で最高賞を受けた「万引き家族」をはじめ、「8番出口」「爆弾」といった話題作を送り出してきた実績もある。

日テレHDは、自社の企画プロデュース力にKANAMELの映像制作力を掛け合わせ、2033年度に海外売上高1,000億円を目指す。すでにPMI(買収後統合)プロジェクトが動き出し、AOI Pro.発の西川美和監督作『わたしの知らない子どもたち』がトロント国際映画祭コンペティション部門に正式決定するなど、統合の成果も見え始めた。子会社化にともない、暫定で417億4,100万円ののれんが計上されている。

《杉本穂高》

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杉本穂高

Branc編集長 杉本穂高

Branc編集長(二代目)。実写とアニメーションを横断する映画批評『映像表現革命時代の映画論』著者。様々なウェブ媒体で、映画とアニメーションについて取材・執筆を行う。

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