米映画協会(MPA)の委託を受け、オックスフォード・エコノミクスが2026年4月に公表した調査「The Economic Contribution of the Audiovisual Industry in South Korea」は、韓国の映像産業が単なる文化産業の域を超え、国家経済を牽引する"戦略インフラ"になっている実態を明らかにしている。
2025年のGDP寄与は24兆800億ウォン、雇用29万1,100人、税収7兆1,700億ウォン。直接効果に対して総効果は3.1倍に達し、情報通信やビジネスサービス、観光、小売といった隣接産業を巻き込んだ"経済圏"を形成している。
こうしたポジティブな経済効果と明らかにすると同時に、同調査は韓国映像産業の現在の課題についても触れ、継続的な成長は保証されない警鐘を鳴らしてもいる。
本稿では同調査をもとに、韓国の映像産業の持つ波及効果の強さと産業が直面している課題を洗い出してみようと思う。
他産業への高い波及効果
GDP24兆ウォン・雇用29万人を生む「乗数3.1倍」
GDP寄与24兆800億ウォンの内訳は、直接効果7兆7,500億ウォン、サプライチェーン経由の間接効果10兆4,400億ウォン、雇用者の消費支出による誘発効果5兆8,800億ウォン。雇用も直接8万5,900人、間接12万500人、誘発8万4,800人と、間接・誘発が直接を大きく上回る構造だ。
注目すべきは「乗数効果」の大きさにある。GDP乗数は3.1倍、雇用乗数は3.4倍。映像産業が直接生み出す付加価値1ウォンに対して経済全体では3.1ウォンの価値が生まれ、直接雇用100人が他産業の340人の雇用を生み出している計算になる。
業種別の雇用波及を見ると、情報通信が11万6,500人で最大。ビジネスサービス(法務・会計・人材・クリエイティブ専門職)が3万500人、芸術・娯楽サービスが2万4,600人と続く。宿泊・飲食、卸売・小売、運輸・倉庫、製造業、不動産、農林水産まで恩恵が及んでおり、「韓国経済全体のハブ」と呼んでも大げさではない広がりがある。




