2025年12月26日、一般社団法人日本動画協会による「アニメ産業レポート2025」の刊行記念セミナーが開催された。2009年の創刊から17回目を迎える本レポートは、日本のアニメ産業の動向を数値化し分析する重要な指標として、政府からも高い注目を集めるようになってきた。
本年から編集統括が増田弘道氏から長谷川朋広氏へと引き継がれ、新たな体制となった。セミナーでは、2024年の市場統計(※レポートの対象期間は2024年1月~12月)をもとに、各分野の詳細な解説が行われた。
概況:市場規模は3兆8407億円へ。「好調」だからこそ浮き彫りになる人材不足
2024年の「アニメ産業市場」(広義のアニメ市場/ユーザー支払額ベース)は、前年比114.8%となる3兆8407億円を記録。この結果について森氏は「かなりの好景気」と言える水準だと表現した。背景には、世界的なアニメ人気の広がりによる海外市場の急成長がある。また、この結果はブームというよりも、市場から利益の回収ができる環境が整ってきたことの証左だという。

政府はコンテンツ産業全体の海外売上を2033年に20兆円にする目標を掲げているが、今後のさらなる成長のためには、海外に対してアニメ映像を売るだけでなく、関連ビジネスを含めた「生態系(エコシステム)」ごと海外展開を進めていく時期にきていると同レポート主筆の森氏は語る。
制作現場への還元には課題も。「制作費」依存の構造
一方、アニメ制作企業の売上を推定した「アニメ業界市場」(狭義のアニメ市場)は、前年比109.1%の4662億円となった。

内訳を見ると、国内市場が3474億円、海外市場が1188億円となっている。2002年からの推移を見ると右肩上がりの成長を続けている。

しかし、構造的な課題も指摘された。産業市場全体(広義)の伸び率が114.8%であるのに対し、制作現場(狭義)の伸び率は109.1%とやや緩やか。また、拡大する海外市場からの権利収入を直接受け取れているのは一部の企業に限られ、多くの制作会社では依然として「制作費」がメインの収入源となっているとする。
森氏は、市場の拡大が現場のリソース不足を招いていると指摘。受注の好調、制作費の向上、クリエイターの待遇向上といったポジティブな要素があるものの、「好調だからこそ作り手が不足している」というジレンマが発生しているという。

市場の成長と並列して、いかに持続可能な生産体制を構築するかが、アニメ産業が抱える最も大きな課題と言えそうだ。









