アニメ産業は約3兆円規模で過去最高に。海外・ライブ・映画が牽引しコロナ禍以降も成長続く

日本動画協会は「アニメ産業レポート2023」刊行記念セミナーを開催。本レポートは2022年の日本アニメ市場の調査と統計・分析を掲載したものだ。コロナ禍以降も成長基調が続き、海外市場、ライブエンタテインメント、映画の伸長が成長を牽引していることが分かった。

働き方 調査・統計
アニメ産業は約3兆円規模で過去最高に。海外・ライブ・映画が牽引しコロナ禍以降も成長続く
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Image by pikisuperstar on Freepik

2023年12月25日、一般社団法人・日本動画協会は「アニメ産業レポート2023」刊行記念セミナーを開催した。本レポートは2022年の日本アニメ市場の調査と統計・分析を掲載したものだ。2022年は、2009年より行っている同調査で最高額を更新したとのこと。

2022年のアニメ産業は、2兆9,277億円(前年比106.8%)に達した。コロナ禍以降も成長基調が続き、海外市場、ライブエンタテインメント、映画の伸長が成長を牽引しているという。

15年でアニメ産業も社会の目線も大きく変化

今年で15回目の刊行となる同レポートだが、初年度の2009年は海外の市場とパッケージビジネスが崩壊に加えてリーマンショックも重なり、アニメ産業としては売上最低を記録した年だったという。15年前を比較して、アニメ産業の売上を構成する要素が全く異なる状況になってきたとのこと。

具体的には配信の伸張とパッケージビジネスの縮小、海外市場の大幅な成長などが挙げられるが、SNSの台頭で情報環境が変化していき、音楽などの周辺産業にもビジネスが広がり、広告などのタイアップも増加していったのがこの15年だという。

全体としてアニメ産業は横ばい続きだった2000年代から右肩上がりの成長を見せた2010年代を経て、2020年代も引き続き好調に成長を続けている。配信市場以外にも、劇場や商品化、ライブも成長しており、様々な分野でアニメが強さを発揮していると言える。

「アニメ産業レポート2023」刊行記念セミナーより

また、ここ数年のアニメ産業を取り巻く環境は良くなってきており、企画も多く製作費は上昇傾向にあるという。日本アニメーター・演出協会(JAniCA)が定期的にまとめる「アニメーション制作者実態調査報告書」の2009年と2023年を比べると、アニメ業界の労働者の環境も改善傾向にあることが伺えるとのこと。

一方で、企画が多いために慢性的な人材不足が続いており、人材育成が必須事項となっているとする。

社会に目を向ければアニメの注目度は大きくなっており、2023年には週刊東洋経済が大きな特集を組んだり、経団連がコンテンツ産業を輸出20兆円を目指すための提言をしたり、アニメが日本の主要産業として期待をかけられているような動きも見られたという。

配信市場は頭打ち、新たなモデルが必要?

同レポートでまとめられた産業の主な構成区分は、テレビ、映画、ビデオ、配信、音楽、商品化、ライブ、海外となる。

テレビ市場については2年連続で回復基調、アニメの放送枠を拡大する動きが顕著で23時台は新たなアニメのゴールデンタイムとなるかもしれないとのこと。そして、放送局による制作会社の買収はひと段落し、今はウェブトゥーンなどの原作を放送局が生み出せる体制を整えようと動いているという。放送業界全体で放送収入が落ち込む中、各局とも放送外収入を生み出せるアニメに期待している状況が伺える。

「アニメ産業レポート2023」刊行記念セミナーより

劇場アニメは785億円で前年比130.4%となり、史上最高額を更新したとのこと。映画館市場においてアニメのシェアが拡大しており、上位5タイトルで7割を占めるなど一部の作品の大型ヒットが市場を牽引しているが、上位寡占が進んでおりヒット作とそれ以外の作品の乖離が課題だという。また、海外での日本アニメの興行収入も拡大傾向にあるとのことだが、これは日本アニメのマーケティングを熟知している会社が配給業に乗り出したことが大きいという。

ビデオ・パッケージについては縮小傾向が続く。これはアニメに限らず映像パッケージ市場全体の縮小が主要因であり、アニメや音楽といったジャンルは他と比べるとまだ良い方なのだそうだ。これは世界的な傾向であり、NetflixがDVDレンタルサービスを終了するなど象徴的な出来事もあったという。

2010年代の成長を牽引した配信市場は前年比7.1%の増加に留まり、ひとまず天井を打ったような感じになったという。各配信サービスの独占タイトルがあまりいい成績を残せず配信バブルは終息と見られるとのこと。『ONE PIECE』実写版の成功など、新しい波も起きており、アニメ産業としてどう向き合うかを考える必要があるだろうとのことだ。

「アニメ産業レポート2023」刊行記念セミナーより

商品化については、前年比102%とわずかに増加。コロナ前の2019年も上回り、実店舗への人流も回復しているとのこと。トレンドとしては、映画や展覧会などの体験型消費が活況で、デジタルからリアルへの揺り戻しが起きている。キャラクター別には「ちいかわ」が大きな躍進を遂げているとのこと。インバウンドの活況も商品市場を底上げしている傾向もあるという。今後は「ポケパーク カントー」や「イマーシブ・フォート東京」などテーマパークの開園も注目とのこと。

広告市場でのアニメの存在感も増してきている。令和に生まれたキャラクターがタイアップで起用される事例が増え、企業もファンとともにブランドを育てる意識が強くなってきており、それが商品の売上にも寄与しているという。同時に、昭和・平成のキャラクターも様々な手法でアプローチが試され、二世代・三世代をカバーする展開が見られるという。タイアップに関しては、リアルタレントの代替として期待されている面もあるといい、企業や商品の顔としてアニメのキャラクターを採用する時代が到来しているとのことだ。具体例としては、「推しの子」を起用した花王や「ハイキュー!!」の味の素など、単なるキャンペーンを超えてブランディングを意識したものが増えているという。

「アニメ産業レポート2023」刊行記念セミナーより

音楽・ライブエンタメ市場は前年比170.4%、過去最大の972億円と大きく伸長した。AdoやYOASOBIなど、アニソンを歌うアーティストが日本の音楽市場を代表する存在になってきている。2.5次元市場は2021年にV字回復を見せたが2022年度はさらなる伸びを見せたとのこと。イギリスのロイヤルシェイクスピアカンパニーが『となりのトトロ』を上演するなど、新たな動きも生まれている。ミュージアムやアニメの展覧会なども活況なようで、今後はこのライブ市場にはテーマパーク関連も計上していくことを検討していると語られた。

海外市場の2022年は、前年比111.1%で過去最高だが、国内市場をわずかに下回るシェア49.8%という結果に。しかし、海外の売上に関しては、これまでには付き合いのなかった企業も進出してきているため、把握しきれていない可能性があるという。アニメ制作スタジオの海外からの売上も過去最高を記録しているとのことだが、これは円安効果が大きく、ドル建て換算だと前年割れになるという。海外契約国をみれば、ほぼ全世界にアニメは浸透しているが、北米の会社から世界にリーチしている傾向があるという。今後はOTTプラットフォーマーから正当な対価を取れているのかを注視し、国内で展開しているタイアップなど、周辺経済をどれだけ巻き込んでいけるかも重要になるとのことだ。

「アニメ産業レポート2023」刊行記念セミナーより

編集統括の増田氏は、アニメビジネスが多岐にわたっていることを想定し、このレポートに何を含めるべきか、さらなる正確性を図るために来年以降も注力していくとのことだ。

《杉本穂高》

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杉本穂高

映画ライター 杉本穂高

映画ライター。実写とアニメーションを横断する映画批評『映像表現革命時代の映画論』著者。様々なウェブ媒体で、映画とアニメーションについて取材・執筆を行う。

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