非公開化を迫られた東北新社が資産査定を受入れへ… MBOも視野に入ったか?【決算から映像業界を読み解く】#67

東北新社が、アクティビストの3Dインベストメントに非公開化を迫られていることが明らかになった。

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【決算から映像業界を読み解く】#67
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東北新社が、アクティビストの3Dインベストメントに非公開化を迫られていることが明らかになった。

経営陣は8月22日に回答書を提出。非公開化の提案について慎重に検討及び議論を尽くした結果、応じないとしたものの、3Dインベストメントによる東北新社に対するデューデリジェンスを指定の方法で受け入れる方針を示した。

デューデリジェンスとは、投資対象となる企業の調査を行うこと。財務や人事、法務などに関連する経営上の重要な情報を3Dに提供することを意味する。再度の提案を行った場合、改めて検討のうえで然るべき意思決定を行うという。

3DのTOB(公開買付)の提案は1株600円~650円。その本気度については不明確な点も多く、MBO(経営陣による買収)が視野に入ってくるのではないだろうか。

広告代理店経由からの受注を抑えるよう進言

3Dインベストメントは、シンガポールを拠点とする日本特化型のアクティビスト。過去に東芝とやりあった他、渦中の富士ソフトのTOBで中心的な役割を務めていることで有名だ。富士ソフトはアメリカの投資会社であるKKRとベインキャピタルの両方から買収提案を受けているが、その引き金となったのは3Dの非公開化の提案だった。

東北新社も3Dから揺さぶりをかけられている点では富士ソフトとよく似ている。しかし、後述する通り株主構成や業績面では大きく異なる。東北新社がTOBを仕掛けられるに値する、魅力を持っているかどうかがポイントだ。

東北新社が3Dから非公開化の提案を受けたのは7月23日。3Dが企業価値向上策として掲げているのは3つだ。

1.広告プロダクション事業の強化戦略
2.海外系動画配信サービス向け映画・ドラマ制作市場への参入
3.不動産の価値向上策の実行

非公開化の提案を行う前から、3Dは東北新社の主力事業である広告プロダクション事業の収益性が落ちていることを問題視していた。2022年度の営業利益率は7.7%。2019年度は10.1%あった。

※3D INVESTMENT PARTNERS「ReBORN 東北新社~3D の考える東北新社の企業価値向上策:事業編(更新版)~」より

3Dは東北新社が広告分野において、動画制作や撮影などの実行部隊に留まっていると指摘。広告代理店の事業範囲である基本戦略の策定、マーケティング、企画の推進、プレゼンテーションなどの上流機能を強化するべきだと進言した。すなわち、電通や博報堂などの広告代理店を通して受注をしているため、利益率が高まらないと指摘したのだ。広告主と直接契約することで、利益率は引き上げられるはずだというわけだ。

AOI TYOと比較すると、東北新社は大手代理店向けの売上比率が高いという。

※3D INVESTMENT PARTNERS「ReBORN 東北新社~3D の考える東北新社の企業価値向上策:事業編(更新版)~」より

こうした提案に対し、東北新社は事業戦略プランやコミュニケーションプラン、CRコアアイディア、メディアミックスプラン、プロモーションプランなどは大手広告代理店の生命線であり、人材も豊富であることから、企画費を制作会社である東北新社が獲得するのは現実的ではないと退けた。

TOBによる非公開化の実績がない3Dの提案に経営の舵取りを行う熱意はあるのか?


《不破聡》

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