過去最高益達成のIGポート、Netflixシリーズ「ムーンライズ」で更なる利益上積みに期待【決算から映像業界を読み解く】#66

アニメーション制作などを手掛けるIGポートが、2024年5月期に過去最高益を達成した。

ビジネス 決算
過去最高益達成のIGポート、Netflixシリーズ「ムーンライズ」で更なる利益上積みに期待【決算から映像業界を読み解く】#66
過去最高益達成のIGポート、Netflixシリーズ「ムーンライズ」で更なる利益上積みに期待【決算から映像業界を読み解く】#66
  • 過去最高益達成のIGポート、Netflixシリーズ「ムーンライズ」で更なる利益上積みに期待【決算から映像業界を読み解く】#66
  • 過去最高益達成のIGポート、Netflixシリーズ「ムーンライズ」で更なる利益上積みに期待【決算から映像業界を読み解く】#66
  • 過去最高益達成のIGポート、Netflixシリーズ「ムーンライズ」で更なる利益上積みに期待【決算から映像業界を読み解く】#66
  • 過去最高益達成のIGポート、Netflixシリーズ「ムーンライズ」で更なる利益上積みに期待【決算から映像業界を読み解く】#66

アニメーション制作などを手掛けるIGポートが、2024年5月期(2023年6月1日~2024年5月31日)に過去最高益を達成した。

「ハイキュー!!」と「SPY×FAMILY」シリーズが好調。収益の柱となる版権事業の売上高を大きく押し上げた。特に2024年2月に東宝が公開した『劇場版ハイキュー‼ ゴミ捨て場の決戦』の収益貢献は大きい。2024年5月期の期首予想では「ハイキュー!!」シリーズのヒットは限定的と見ていた。IGポートは2014年のテレビシリーズから製作委員会に出資をしている。長い時間をかけて嬉しい誤算が舞い降りた。

今期の業績は大型作品であるNetflixシリーズ「ムーンライズ」のヒットに左右されそうだ。

映像制作事業は海外大型作品受注の影響で赤字転落

2024年5月期の売上高は前期比6.1%増の118億4,100万円、営業利益は同23.6%増の12億2,500万円だった。営業利益率は10.3%。2008年5月期からこれまで、営業利益率が10%を越えることはなかった。業績は極めて堅調だと言えるだろう。

決算短信より筆者作成

IGポートの事業は3つに分かれている。アニメ制作を行う映像制作事業、製作委員会などで出資したリターンを得る版権事業、そして出版事業だ。アニメ業界全般に言えることだが、映像制作事業単体では利益はほとんど出ない。IGポートは2024年5月に映像制作事業において9億4,000万円もの営業損失(前期は8,700万円の営業利益)を出している。事業単体では大赤字だった。

赤字に陥った要因として、海外から受けた作品の受注制作プロセスを挙げている。IGポートによれば、2020年(受注時)にオーダーが入った際の受注額は高額であっても、ここ数年の制作費の高騰で国内での発注と大差がなくなり、クリエイターや外部発注会社の確保に苦戦。スケジュールの延長に繋がったという。


《不破聡》

関連タグ

編集部おすすめの記事