コンサルタント会社Artisan Gatewayが提供したデータによると、『エイリアン:ロムルス』は8月30日(金)から9月1日(日)までの週末だけで6,340万人民元(890万ドル/約13億1,051万円)を記録。中国での総興行収入は6億6,100万人民元(9,310万ドル/約136億6,323万円)となり、9月1日(日)までの北米市場の興行収入8,880万ドル(約130億5,715万円)を上回る。なお世界興行収入は累計で2億8,350万ドル(約416億円)となっている。
この累計興収は、中国におけるハリウッド映画としては『ゴジラxコング 新たなる帝国』に次いで今年2番目に高い。例年、ブラックアウト期間または「中国映画宣伝月間」の一部とみなされていた8月にこのような記録を打ち出したことも例外的だ。
また、Varietyによると、『エイリアン:ロムルス』が予想外に有望な成績を収めた理由として興行アナリストは、「好意的な評価や口コミ、中国の評価システムであるMaoyan(10点満点中8.9点)、Taopiaopiao(10点満点中9.1点)、Douban(10点満点中7.5点)での高得点を挙げている」という。中国の観客のために薬物や性的な表現が削除された『デッドプール&ウルヴァリン』とは異なり、ノーカットで上映されていることも大きな要因としている。Artisan Gatewayの報告によると、中国全土での週末興行収入は4,080万ドル(約59億8,699万円)であり、ここ10週間で最低の数字だったとのこと。累計興収は47億ドル(約6,896億7,800万円)となり、昨年の今頃と比べると約22%減少している。
中国の大手映画チケット販売代理店のひとつであるMaoyanによると、夏シーズン(6月から8月まで)の興行収入だけを見ても、昨年より44%減少しているという。レポートでは「今年のサマーシーズンはとても多様な国産映画が上映され、輸入IP映画も例外的に好調だった。国内新作では、コメディ、サスペンス、ドラマ、犯罪、SF、アニメなど、ジャンルは多岐にわたる。全体的に上位を占めたのは、いずれも国内作品で『Successor(英題)』と『A Place Called Silence(英題)』で、合計興行収入は13.5億元であった」と中国映画の人気が未だ衰えていないことを示しつつ、「新規輸入映画に関しては、今夏シーズンは1億元を超える作品が9本あり、本数・興行収入ともに2023年を上回った」と報告している。
外国映画の規制が緩和されつつある中で中国映画の人気も衰えていないが、中国全体の興行収入は前年と比べて減っており、中国の映画業界や視聴者の動向が少しずつ変化していることが明らかになった。