シネマコン:クランチロールが日本アニメの魅力をアピール、ワーナーは新作ラインナップを発表

ワーナーは『ジョーカー2』や『ビートルジュース2』など、期待作の予告編や映像を初披露。クランチロールは『ハイキュー』『ブルーロック』などの北米配給の予定を発表。

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Photo by Jerod Harris/Getty Images for CinemaCon CinemaCon

4月8日(月)~11日(木)にかけて、米ラスベガスのシーザースパレスホテルで全米劇場所有者協会(NATO)主催のシネマコンが開催された。全米劇場所有者協会が毎年春に催す本イベントは、各映画会社の映画ラインナップが劇場主向けに発表され、世界中から映画館の所有者が集う、最大かつ最も重要な見本市・展示会だ。企業・ビジネス向けのイベントだが、シネマコンでは新作映画の予告編やファーストルック映像などが上映されるため、映画ファンやメディアからも大きく注目されている。

シネマコンは各社が自社の作品を発表する重要な機会となる。まさに今回、この場を大いに利用したのが、ソニー傘下の米アニメ配信サービスクランチロールだ。


クランチロールが日本アニメの魅力をアピール

IndieWireによると、シネマコンの冒頭を飾ったのはワーナー・ブラザースやディズニー映画の紹介ではなく、アニメが映画館にとって前例なき救世主となり得るという、クランチロールで上級副社長を務めるミッチェル・バーガー氏のプレゼンテーションだった。

シネマコンに足を運ぶ劇場所有者や、エンターテイメント企業の幹部には圧倒的に年配の白人男性が多く、日本のアニメやそのファンを詳しく理解している人は少ない。そこでバーガー氏は、3部構成でプレゼンテーションを進めたという。まずステップ1として、劇場所有者にクランチロールが「鬼滅の刃」や「ドラゴンボール」といった日本の人気アニメシリーズを配信していることを伝え、ステップ2として、『劇場版 SPY×FAMILY CODE: White』から10分間の映像を上映して新コンテンツを紹介。

最後となるステップ3では、バーガー氏が2025年に総体的なアニメ産業の価値が370億ドル(約5兆6,000億円)になる見込みだと伝えると、会場がどよめいたという。

シネマコンでは、『劇場版ハイキュー‼ ゴミ捨て場の決戦』や『劇場版ブルーロック -EPISODE 凪-』の北米配給をクランチロールが担当することが伝えられた。すでに2020年以降、クランチロールが北米で劇場公開した作品の興行収入は2億1,700万ドル(328億3,400万円)に達している。それほど世界的には日本アニメの人気が高く、大きな利益を生み出せることを知った劇場所有者が、アニメ作品の上映館数増加を検討することは考えられそうだ。シネマコンは業界の流れを変え、新たなトレンドを生み出す可能性を秘めた重要なイベントであることを覚えておきたい。

2024年期待の映画から予告編などが初公開

Screen Dailyによると、その他にシネマコン2024ではワーナーからDC映画『ジョーカー』の続編『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』や、ファンタジーコメディ映画『ビートルジュース』の続編『Beetlejuice Beetlejuice(原題)』、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』の前日譚映画『マッドマックス:フュリオサ』といった期待作の映像も初お披露目となった。

『Beetlejuice Beetlejuice』からは監督で続投したティム・バートンが、第1作から復帰のマイケル・キートン、キャサリン・オハラ、新キャストのウィレム・デフォー、モニカ・ベルッチらと登壇。『マッドマックス:フュリオサ』では、ジョージ・ミラー監督と主演のアニャ・テイラー=ジョイ、クリス・ヘムズワースが前日譚映画について語り合い、5月に開催されるカンヌ国際映画祭でプレミア上映される予定だ。

10月4日に米国公開予定の『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』については、脚本・監督で復帰したトッド・フィリップスが初予告編を紹介。さらに、韓国人監督のポン・ジュノと主演のロバート・パティンソンがタッグを組んだSF映画『Mikey 17(原題)』や、ケヴィン・コスナーが主演・監督を兼任する2部構成の西部劇映画『Horizon: An American Saga(原題)』、M・ナイト・シャマラン監督による新作ホラー映画『Trap(原題)』などの初予告編や新映像が上映された。

《Hollywood》

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ロサンゼルスに11年在住していた海外エンタメ翻訳家/ライター。海外ドラマと洋画が大好き。趣味は海外旅行と料理、読書とカメラ。

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