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ディズニーとワーナー・ブラザース・ディスカバリー(以下、ワーナー)、FOXという3大メディア企業が、各社のスポーツ番組をひとつのブロードバンドとして利用できる新ストリーミング合併事業を立ち上げる計画を進めていることが明らかとなった。
The Hollywood Reporterによると、ディズニーのESPNとワーナーのTNT、FOXのFox Sportsが展開するコンテンツが独立したアプリで提供される予定で、TVスポーツ業界を大きく揺るがすことになりそうだ。名称が未定のストリーミング・プラットフォームは、ESPNやABC、TBSといったリニア局のスポーツ生中継や、3大メディアが放送する試合および、その他のスポーツ番組を非独占的に提供。つまり3企業は、同サービス開始後も独自で番組を制作することが可能だ。3社はそれぞれ新事業の3分の1を所有し、独自のブランドと独立した経営チームを持つことになるという。このサービスはD2C(ディレクト・トゥー・コンシューマー)だが、ワーナーの動画配信サービスMaxやディズニーのESPN+、Huluとのバンドルでも提供され、ストリーミング・プラットフォームの“細いバンドル”のような存在に近いとのこと。
Varietyによると、この新サービスはNFL(米プロ・アメリカン・フットボールリーグ)のシーズンに合わせ、2024年秋よりサービスを開始予定。この契約により、NFLやNBA(米プロ・バスケットボールリーグ)、MLB(米プロ・ベースボールリーグ)、カレッジフットボール、FIFAワールドカップ、テニスのグランドスラム4大会のうちの3大会、UFC(総合格闘技団体)の試合、 NASCARやフォーミュラ1の放映権を持つ超巨大スポーツ・ストリーミングサービスが誕生することになる。サブスクリプション料金は後日発表の予定だが、消費者が単体の地域スポーツ局に支払う月額20~30ドル(約3,000円~4,500円)よりは高く、Hulu LiveやYouTubeTVのような大型デジタル番組パッケージの月額75~80ドル(約11,000円~12,000円)よりは、安い料金に設定されるのではないかと予想されている。
ディズニーでCEO(最高経営責任者)を務めるボブ・アイガー氏は声明にて、「この新ストリーミング・スポーツサービスの開始はディズニーとESPN にとって重要な瞬間で、スポーツファンにとっては朗報となり、メディア・ビジネスにとっては大きな前進となるでしょう」とコメント。FOXコーポレーションのCEOであるラクラン・マードック氏とワーナーのCEOデヴィッド・ザスラフ氏も、それぞれ新合併事業に対する意気込みを語った。
なお、この契約に近しい人物によると、3大メディアはスポーツ放映権市場の約85%を支配しているため、それ以外の企業と提携すれば構造が複雑化して視聴料が高騰するため、消費者の負担を考慮し、コムキャストやパラマウント・グローバルに参加を呼びかけなかったそうだ。