米国興収予測が下方修正、ダブルストライキによる公開延期が影響

2023~2024年は米国興収予測が下がるが、2025年は回復するとの見込み

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Photo by Mario Tama/Getty Images ハリウッドサイン

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トータルで半年にわたって続いた全米脚本家組合(WGA)と映画俳優組合 - 米国テレビおよびラジオ芸術家連盟(SAG-AFTRA)のストライキは終了したが、長引いたストライキの影響で、各スタジオは予定していた映画の米国公開日を次々に延期しており、その余波をThe Hollywood Reporterが伝えている。

米金融サービス企業B. Rileyで株式アナリストを務めるエリック・ウォルド氏は、まず、2023年第4四半期(10月~12月)の米国興収予測を最近の業績動向から判断し、21億6,700万ドル(約3,210億円)から18億7,800万ドル(約2,780億円)に引き下げた。

10月初週から11月第3週末までの米国興収は8億7,300万ドル(約129億5,000万円)で、新型コロナウイルスのパンデミック前となる、2019年同期間の12億4,200万ドルと比べると約30%も減少しているという。ストライキ中は俳優が出演作のプロモーションに参加できず、ソーシャルメディアでもまったく作品を宣伝できなかったことが、興収の落ち込みに大きく影響していると考えられる。

またウォルド氏は、「第4四半期の残りの期間に、1億ドル以上の利益をもたらす可能性のある映画が一握りある一方で、現時点までに公開された映画で期待外れの成績に終わったものもあった」ことを理由に、同四半期の興収予測を3億ドル近く引き下げたと説明。同氏は第4四半期の数字を考慮し、2023年全体の興行収入予測を92億1,600万ドル(約1兆3,670億円)から89億2,700万ドル(約1兆3,220億円)へ下方修正した。

公開延期が発表された作品には『デューン 砂の惑星PART2』(ワーナー・ブラザース・ディスカバリー)、実写版『白雪姫』(ディズニー)、マーベル映画の『デッドプール3(仮題)』、『Captain America: Brave New World(原題)』『Thunderbolts(原題)』などが挙げられる。こういった大作や期待作のリリース延期は、どのような影響を及ぼすのだろうか。

ウォルド氏は一連の公開延期により、2024年の米国興行収入は8億4,700万ドル(約1,256億円)の損害を被ると予想しているが、2025年の興行収入は8億9,900万ドル(約1,335億円)の利益をもたらす可能性があると推定。しかし全体的には手堅く見積もり、2024年米国興行収入を96億1,700万ドル(約1兆4280億円)から86億900万ドル(約1兆2,780億円)へ、2025年の国内興行収入を102億9,900万ドル(約1兆5300億円)から99億2,000万ドル(約1兆4735億円)へ下方修正した。

ここ近年、ハリウッドはパンデミックやダブルストライキで甚大な打撃を受けたが、ウォルド氏は「パンデミック後の時代においても、映画の需要は変わらず大きい」との見解を示し、「2024年の米国興収落ち込み予測は、ストライキによる製作の遅れを反映したものにすぎず、業界における見通しについては引き続き前向き」との強気な見方を崩していない。

《Hollywood》

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ロサンゼルスに11年在住していた海外エンタメ翻訳家/ライター。海外ドラマと洋画が大好き。趣味は海外旅行と料理、読書とカメラ。