Photo by Mario Tama/Getty Images
5月から全米脚本家組合(WGA)が、そして7月に入り映画俳優組合 - 米国テレビおよびラジオ芸術家連盟(SAG-AFTRA)もストライキを決行し、今もなお行われている。それぞれ約3ヵ月/約1ヵ月が経とうとしている中で、最新のニュースをまとめた。
SAG-AFTRAが暫定契約に大きな変更を加える
Indie Wireによると、SAG-AFTRAはWGAの助言に基づき、米国内で制作されるWGA対象プロジェクトを暫定協約の締結から除外する(※)と発表したとのことだ。SAG-AFTRAは声明の中で、「私たちが暫定契約を締結した理由はいくつかあるが、そのすべてが私たちの組合員と姉妹組合の組合員の利益を保護することを目的としている」「ストライキは日々進化している。我々は、共通の大義のために姉妹組合と協力して闘いながら、組合員を守り続けるためにリアルタイムで適応している」と発信している。※暫定契約:ストライキ中、一部の映画やテレビ番組が撮影や宣伝活動を行うことを暫定的に承認するプログラム。プロジェクトは組合の承認を得る必要がある。WGAは現時点でいずれの暫定契約も許可していないため、SAGの規定ではOK、WGAの規定ではNGのプロジェクトが発生している
直近、コメディアンで女優のサラ・シルバーマン氏が(WGAが暫定契約を認めない中で)SAG-AFTRAで暫定契約を結んで働いている俳優を非難するなど、物議を醸していた。それ以来、SAG-AFTRAは暫定契約をAMPTPとの交渉における「戦略的アプローチの重要な一部」であり、「権利放棄」やフリーパスと考えるべきではないと言及していた。これまでに暫定協定が結ばれた作品は、製作途中のもの、あるいはストライキ開始直後に開始が予定されていたもので、すでに暫定契約を結んでいるWGA対象作品や今後映画祭で上映される作品などに変更が適応されるかどうかは現時点で不明とのことだ。
映画祭での買い付けの際には、SAG-AFTRAの新しい契約条件に同意しなければならない
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映画がSAG-AFTRAの暫定合意を受けている場合、買い手候補は組合の提案する新しい契約に同意しなければならない。この契約には、ストリーミング配信における俳優への残留報酬の支払いも含まれているため、情報筋はこの契約が大手配信会社の映画買収を躊躇させるのではと恐れているという。
クラブツリー=アイルランド氏は、SAG-AFTRAがAMPTPと新たな合意に達した場合、現在の暫定契約は最終的な合意がどのようなものであれ「統合」されると述べた。一方、ある新進ディレクターの代理人は、匿名で「この秋、バイヤーの半分はテーブルから離れるだろう」と述べたとのことだ。
WGAがスタジオの新提案に回答、ストライキの早期終結はないことを示唆
再交渉を続けていたWGAとAMPTPだが、106日間に及ぶストライキが解決することへの期待は払拭されてしまったとVarietyが報じている。協議に詳しい情報筋によれば、WGAはいくつかの項目で若干の譲歩をしたという。複数のスタジオ関係者は、AMPTPの最新オファーが交渉の突破口になるだろうと楽観視していたとのことだが、お互いに同意は実現しなかったようだ。両者は、ストリーミングの残留報酬やテレビ脚本家の最低賃金の引き上げなど、あらゆる項目で対立を続けている。
また、WGAは組合員が他の組合のピケラインを尊重する条項を求めている。この条項は、多くの脚本家がSAG-AFTRAのストライキが解決するまで仕事に復帰しないことを意味する。AMPTPは、8月4日に初めて出されたこの提案の受け入れも拒んでいるという。