USEN-NEXT HOLDINGSの業績が堅調だ。
2022年8月期の売上高は前期比14.2%増の2,379億円、営業利益は同11.0%増の173億円だった。4期連続の増収増益。2023年8月期の売上高は前期比3.8%増の2,470億円、営業利益は同6.2%増の184億円と5期連続の増収増益を予想している。
USEN-NEXT HOLDINGSが展開する事業は5つ。飲食店やホテル向けに音楽や動画などを配信する店舗サービス事業、ブロードバンド回線サービスを提供する通信事業、自動精算機やフロント管理システムを提供する業務用システム事業、商業施設向けに電力を提供するエネルギー事業、そして個人向けの動画配信を手掛けるコンテンツ配信事業だ。
この中で著しく業績を伸ばしたのがコンテンツ配信事業。連結子会社U-NEXTが事業の中核を担っている。動画配信サービスU-NEXTは高単価にも関わらず、競合と比較してユーザー満足度が高いという特徴がある。
✅記事のポイント
コロナ特需でU-NEXTの課金ユーザー数は24万4,000人増加。
加入者数が増え、広告費が下がったことで、利益率が大幅アップ
コンテンツ数の多さで顧客満足度を高める
広告費の比率が下がって高利益体質に
USEN-NEXT HOLDINGSは2021年8月期に営業利益率が7.5%となった。前の期と比較して1.9ポイントも上昇している。主力事業を支える飲食店やホテルがコロナ禍で軒並み立ち行かなくなったにも関わらずだ。
■USEN-NEXT HOLDINGS業績推移
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※決算短信より
2021年8月期の店舗サービス事業の売上高は前期比0.1%減の561億1,200万円、営業利益は同2.5%減の85億9,000万円だった。主力事業の穴を埋めたのがコンテンツ配信事業だ。同時期の売上高は前期比30.7%増の599億5,600万円、営業利益は7.7倍の57億3,100万円に跳ね上がった。
コンテンツ配信事業の売上高が稼ぎ頭の店舗サービスを追い抜いたのだ。
■コンテンツ配信事業業績推移
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※決算説明資料より
この事業の業績を押し上げたのが、いわゆるコロナ特需だ。
緊急事態宣言後の2020年8月期第3四半期に入って、U-NEXTの課金ユーザー数は24万4,000人増加している。月数%で増加していた課金ユーザー数が、突如として2桁増へと転じたのだ。
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※決算説明資料より
U-NEXTはオリジナルコンテンツの数が極めて少なく、製作費はほとんど発生しない。映画やアニメーションなど映像コンテンツの仕入れ価格が原価となり、そこに人件費や広告宣伝費が上乗せされる。U-NEXTは課金ユーザー獲得の広告費が重く、利益を左右する要因の一つになっている。
売上高に対する広告費の割合は、コロナ前に10%台後半から20%で推移していたものの、コロナ後は10%台前半で推移している。1%台だった営業利益率が10%近くまで急改善したのは、課金ユーザー数が増えて売上高が急上昇し、広告費の比率が下がったためだ。
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※決算説明資料より
課金ユーザー数については、コロナ特需の反動減が危惧されたものの、2022年8月期4Qは9.4万人増加している。増加ペースが鈍化している様子はない。
市場規模の拡大ペースを超えた成長を目指すU-NEXT
コロナ特需は動画配信サービスにどれだけ恩恵をもたらしたのだろうか。