ディズニー、前任ボブ・アイガー氏のCEO復帰を発表 現CEOのボブ・チャペック氏は退任へ

ディズニーは、ボブ・チャペック氏がCEOを退任し、前任のボブ・アイガー氏が後任を務めると発表した。

ビジネス 企業動向
ボブ・アイガー
Photo by Jerod Harris/Getty Images for Vox Media ボブ・アイガー

ディズニーは、ボブ・チャペック氏がCEOを退任し、前任のボブ・アイガー氏が後任を務めると発表した。

取締役会会長のスーザン・アーノルド氏は、「我々は、パンデミックという前例のない場面を乗り切ったことを含め、ボブ・チャペックの長いキャリアにおけるディズニーへの貢献に感謝する」と述べた。そして「取締役会は、ディズニーがますます複雑化する業界の変革期に乗り出すにあたり、ボブ・アイガーはこの極めて重要な時期を通じて当社をリードする立場にあるという結論に達しました」とコメントを残した。

再びCEOとして任命を受けたアイガー氏は「私はこの偉大な会社の将来に対して非常に楽観的であり、取締役会からCEOとして戻るよう依頼されたことに感激しています」「ディズニーとその比類なきブランドやフランチャイズは、世界中の多くの人々の心の中に特別な位置を占めており、特に、この会社とその使命に献身する従業員の心には、インスピレーションを与えてくれます。大胆なストーリーテリングを通じて、世代を超えたインスピレーションを与えるという、クリエイティブ・エクセレンスに焦点を当てた明確な使命を持つこの素晴らしいチームを再び率いるよう依頼されたことを、深く光栄に思います」とコメントした。ただ、取締役会は彼の新しい任期が一時的なものであると考えているようだ。

同社は、新型コロナウイルスの大流行によって大きな影響を受けた。テーマパークやクルーズ船が閉鎖され、映画やテレビの制作がほぼすべてストップしてしまったのだ。その一方で、ストリーミングの成長には拍車がかかり、チャペック氏はデジタルに特化するために会社を再編成し、ストリーミングに傾倒していった。しかしチャペック氏がCEOに就任して以来、『ブラック・ウィドウ』に出演したスカーレット・ヨハンソンとの契約についての対立や、フロリダ州のいわゆる「ゲイと言うな」法案に対するディズニーの対応など様々なニュースが起き、その結果、株価は30%以上下落した

一方で、アイガー氏は2005年から2020年まで同社のトップを務め、その間ピクサー、マーベル、ルーカスフィルムの買収を実施し、2019年には世界興行収入100億ドルを突破する大企業を作り上げた。在任中には何度か引退を試みたが、適切な後継者が見つからず契約延長を繰り返していた。最終的にはチャペック氏に決まったが、2人の意見が一致することはほとんどなかったという。ハリウッドの大物たちとも良い関係を築いたアイガー氏に対して、『ブラック・ウィドウ』騒動からわかるように、チャペック氏とは正反対の性格であることは明らかだ。今後、アイガー氏が新たにどのような変化をもたらすのか注目が集まる。

Sources:IndieWireThe Hollywood Reporter
《伊藤万弥乃》

関連タグ

伊藤万弥乃

伊藤万弥乃

海外映画とドラマに憧れ、英語・韓国語・スペイン語の勉強中。大学時代は映画批評について学ぶ。映画宣伝会社での勤務や映画祭運営を経験し、現在はライターとして活動。シットコムや韓ドラ、ラブコメ好き。