東南アジア最大級のポップカルチャーイベント「AFA」、企画・運営を手掛けるショーン・チン氏がアニメ市場の現状を語る

「Anime Festival Asia Singapore 2022」(AFA SG 2022)が11月25日~27日に開催される。3日間で12万人の来場が見込まれている、東南アジア最大級のポップカルチャーイベントだ。本イベントを手掛ける、ショーン・チン氏が見どころとアニメ市場の現状を語る。

グローバル アジア
SOZO Pte.Ltd代表ショーン・チン氏
SOZO Pte.Ltd代表ショーン・チン氏

■「フィジカル」×「デジタル」で楽しむ新たなリアルイベント


――新型コロナウイルス流行の影響を受け、2020年にはAFAをオンラインで開催しました。イベントの手応えはいかがでしたか?

ショーン:現地ならではのエモーショナルな体験をオンラインで同じようにお届けするのは、どうしても難しい部分がありました。きっとファンの方々も物足りなさを感じていたと思います。

私たちのイベントでは本物を直接ファンにお届けすることを大切にしているので、現地で開催できない状況は主催者としてももどかしかったです。オンライン開催でも企業としての収益が挙げにくく、この2年間はとても厳しい状況にありました。

――現地開催とオンライン開催で、ファンの熱量に違いは見られましたか。

ショーン:まったく違っていたと思います。現地では友達などを誘って一緒に楽しむこともできますが、オンラインの場合は自宅から1人で参加する人が多いです。このような状況では、共有体験は生まれにくかったと思います。中にはコンサートの配信を見ても、DVDを視聴しているようだと感じる人もいました。また、その場で気になるブースに足を運んでみるといった、新たな作品と出会う機会の創出も難しいです。同じ会場で仲間とともに盛り上がることで生まれる熱量は、とても大切なのだと実感しています。だからこそ、2022年にようやくリアルイベントとして開催できるのはとても喜ばしいです。

――約3年ぶりに開催するAFA。どんなテーマが込められているのでしょうか?

ショーン:今年のキーワードは、「physical」と「digital」を掛け合わせた「phygital(フィジタル)」です。リアルとデジタル技術を組み合わせることで、これまで以上に深い体験を提供します。

――また、AFA SG 2022のステージイベントの見どころについてもお聞かせください。

ショーン:毎回恒例のアニソンコンサートなどはもちろん、AFAでは初開催となるVtuberのステージにもぜひ注目してほしいです。

Vtuberはここ3年前ほどで大きく成長したジャンルだと感じています。コロナ禍で一気にVtuberの数が増えましたし、世界に進出したVtuber事務所もありました。まだ具体的な名前は出せませんが、とても人気のあるVtuberをゲストにお招きしてステージイベントをする予定なので期待していてください。依然として人の行き来が難しい情勢が続いているので、バーチャルを利用した表現には今後も力を入れたいと考えています。

――VtuberのステージイベントはAFAでは初めてとのことですが、どのような盛り上がりを期待していますか?

ショーン:通常のライブイベントと同じように、双方向のやりとりを楽しんでいただけるのではないかと思っています。Vtuberのファンは普段、配信を1人で見ることが多いです。でもAFAでは同じ場所でたくさんのファンと一緒に楽しむことができます。また、Vtuberのパフォーマンスも事前に録音したものを流すわけではなく、双方向にやりとりができる環境にする予定です。ですからたとえバーチャルな存在であっても、生身のアーティストのライブを見ているような感覚を味わっていただけると期待しています。

■AFAを東南アジア進出のテストケースにしてほしい


――今後も東南アジアで日本アニメ市場を盛り上げていくために、AFAではどのような取り組みを考えていますか?

ショーン:10年以上かけて培ってきたファンとの信頼を大切にして、今後も現地のファンやビジネスパートナーとの出会いを提供していきます。トレンドに沿いつつも多くの方を受け入れられるプラットホームを作ることが、私たちの重要な役割です。ビュッフェ・スタイルのようにさまざまな日本のポップカルチャーを集めて発信する場を継続的に提供することで、日本のアニメ産業の一助になりたいと考えています。

――AFAは出展企業募集中とのことですが、どのような企業と一緒にイベントを盛り上げたいですか?

ショーン:ゲーム会社やおもちゃメーカー、Vtuber事務所にもぜひご参加いただきたいです。アニメ制作会社、OTT配信プラットフォーム、Web3.0技術運用している企業も大歓迎です。AFAがメインで扱っているのはアニメですが、さまざまなジャンルを取りそろえてお届けすることも大切にしています。だからこそ、多くの企業とご一緒したいです。最近ではアニメやゲームのグッズも売れ行きがいいので、ぜひホビーメーカーなどマーチャンダイズを扱っている会社にも興味を持っていただければと思っています。

――AFAに出展するにあたり、日本との相違点はあるのでしょうか?

ショーン:知名度の高いゲームなどは、基本的に日本と同じ売り方でいいと思います。トレンドも日本とそこまで大きな違いはないので、現地のファンも受け入れてくれるはずです。とくにアニメとの距離が近いゲームタイトルは、AFAでも人気が出ると思います。

ただ、中には東南アジアにはまだ根付いていない文化もあるので、その場合は初歩的な部分から伝えるようにするといいでしょう。たとえば過去にはペンライトメーカーのルミカさんが、ペンライトをライブで使う文化も含めて売り込みました。その甲斐もあって、今ではアニソンライブでペンライトを振ることが習慣として根付いています。

――企業が東南アジアに進出するときの練習にもなりそうですね。

ショーンAFAは企業にとって、いいテスト会場になると思います。東南アジアに進出するにあたり、いきなりどこかの国に拠点を作るのはハードルが高いです。言語ごとに適したマーケティングの方法はもちろん、作品がどこまで受け入れられるかもわかりません。だからこそ、最初はAFAで感触を掴むことをおすすめしたいです。シンガポールは東南アジアの中でもっとも購買力が大きく、参考になると思います。また、現地の企業とも知り合えるので、マッチングの場にも適しているはずです。出展にあたりどのような工夫が必要なのか私たちも相談に乗るので、ぜひ声をかけてください。

――これからAFAに参加してみたい!と思っているアニメファンは、どのような準備をすればいいでしょうか。

ショーン:今年新たに導入する「phygital」体験の楽しみ方に関しては今後来場者向けの解説動画をいくつか出す予定なので、まずはそれを見ていただくといいと思います。また、ステージの内容などこれから解禁される情報がたくさんあるので、それをチェックして楽しみを膨らませてほしいです。

――リアルイベントを開催するにあたり、AFAで実施している新型コロナウイルス対策について教えてください。

ショーン:シンガポール政府が定めている指針に従ってイベントの準備を進めています。会場ではワクチンの接種、マスクの着用なども徹底し、参加者の健康が害されることのないような対策をとります。その点では日本よりも規制が厳しいといえるでしょう。ですから来場されるみなさまには、安心してAFAを楽しんでほしいです。

――最後に、読者へのメッセージをお願いします。

ショーン:みなさまのご支援のおかげで、AFAを再び開催できることを嬉しく思っています。ぜひAFAを楽しみに、シンガポールに遊びに来てください。そしてこれからも変わらぬご支援をよろしくお願いします。

◆◆◆

「Anime Festival Asia Singapore 2022」は11月25日~27日にシンガポールの「Suntec Singapore International Convention and Exhibition Center」にて開催予定。今後もアニメ!アニメ!では、出演者やステージ情報などをいち早くお伝えしていくので、ぜひ注目してほしい。



※AFAまたはSOZOとのビジネスに関するお問い合わせは bizdev@sozo.sg
またはafajapan@sozo.sgまでご連絡下さい。

下記のフォームもご記入して頂くと、弊社のスタッフよりご連絡いたします。


AFA SG 2022が提案するリアルイベントの新たな形― SOZO Pte.Ltd代表ショーン・チン【インタビュー】

《ハシビロコ》

関連タグ