東南アジア最大級のポップカルチャーイベント「AFA」、企画・運営を手掛けるショーン・チン氏がアニメ市場の現状を語る

「Anime Festival Asia Singapore 2022」(AFA SG 2022)が11月25日~27日に開催される。3日間で12万人の来場が見込まれている、東南アジア最大級のポップカルチャーイベントだ。本イベントを手掛ける、ショーン・チン氏が見どころとアニメ市場の現状を語る。

グローバル アジア
SOZO Pte.Ltd代表ショーン・チン氏

2022年11月25日~27日まで、「Anime Festival Asia Singapore 2022」(AFA SG 2022)が開催される。3日間で12万人の来場が見込まれている、東南アジア最大級のポップカルチャーイベントだ。

2008年から始まった「Anime Festival Asia」(AFA)だが、新型コロナウイルスの流行によって2020年以降、リアル会場での実施が叶わなかった。

約3年ぶりとなるイベント開催だけに、企画・運営を手掛けるSOZO Pte. Ltd.代表のショーン・チン氏も気合い充分。「リアルイベントの新たな形を提案したい」と、デジタル技術も駆使した仕掛けを用意しているという。

「AFA SG 2022」の見どころや東南アジアにおけるアニメ市場の現状などを、ショーン氏に伺った。



ショーン・チン(Shawn CHIN)

2009年にシンガポールでSOZO Pte. Ltdを創業。AFA(Anime Festival Asia)を世界有数のジャパニーズポップカルチャーイベントに育て上げた。日本のコンテンツを東南アジアに広めるため、イベントの企画・運営などさまざまな取り組みをしている。



■AFAは「ポップカルチャーのビュッフェ」


――AFAについて、簡単な紹介をお願いします。

ショーン:AFAは東南アジア最大級のポップカルチャーイベントです。展示やコンサートを含めた体験型のイベントで、タイ、マレーシア、インドネシアでも開催されています。もっとも規模が大きい会場は、毎年11月下旬に開催するシンガポールです。AFAはシンガポール政府からも高く評価されており、2019年にベストレジャーアワードを受賞しています

2019年にシンガポールで開催したAFAでは1060ブースの展示、168の企業が出展し、約12万人が来場しました。2022年も同程度の人数が来場する予定です。ここ2年間は東南アジアで大きなポップカルチャーイベントがなかったので、多くのファンが開催を待ち望んでいます。

――年々規模が大きくなっていますね。AFAはどんなコンセプトのもと、開催しているのでしょうか?

ショーン:日本国内と同じようなポップカルチャー体験を提供することです。また、ビュッフェのようにさまざまなジャンルを一度に味わえる空間にすることも大切にしています。

日本にもポップカルチャーイベントは数多くありますが、アニメ、ゲーム、アニソン、同人誌など、ジャンルごとに独立したものが主流です。一方AFAはすべてのコンテンツを網羅しており、コスプレ、企業のブース、フード、制作スタッフや声優が出演するデイステージ、アニソンコンサートなど、同じ会場内でさまざまな体験ができるようにしています。シンガポール現地のアーティストやコスプレイヤーも出演できる「アキバステージ」も好評です。

――アニメに限らず、ポップカルチャーに興味のある人を広く受け入れているのですね。

ショーン:そうです。AFAの来場者は熱狂的なアニメファンだけではなく、家族連れも多いです。中には普段アニメをそれほど追いかけていない人もいますが、AFAで目に入った作品に興味を持っていただけます。海外ではこのような包含型イベントのほうが、コンテンツと現地の人々が出会う機会を作りやすいのです。

――AFAでとくに人気のあるブースを教えてください。

ショーン:どのブースも人気で訪れるファン層も異なるので、一概に答えることは難しいです。ただ、アニソンコンサートはAFAの入場チケットとは別に料金を設定しているので、参加する約1万人のファンはかなり熱量が高いと思います。スタッフや声優が出演するデイステージもとても人気です。また、アキバステージは地元の方が出演しているので、来場者からも好意的に見ていただけています。

■東南アジアのトレンドは日本と似ている


――デイステージでは制作スタッフや声優によるトークなどが楽しめると伺いました。扱うアニメ作品は、どのように決めているのでしょうか。

ショーン:基本的には東南アジアのアニメ市場のトレンドを見て、話題になりそうな作品を選んでいます。たとえば2022年であれば『SPY×FAMILY』や異世界ものアニメが人気です。

また、AFAの開催時期である11月を見込んで、これから人気が出そうな新しい作品にも目を付けています。現在放送中の『リコリス・リコイル』や、日本で映画が公開された『ONE PIECE FILM RED』は東南アジアでも話題になりそうです。こうしたトレンドをもとに、マーケットに対する親和性なども考慮しながら、スタッフ一同で慎重に吟味しています。

――東南アジアのアニメ市場と、日本のアニメ市場のトレンドに違いはありますか?

ショーン:それほど大きな違いはないと感じています。近年ではNetflixやbilibili、YouTubeの公式配信などのおかげで、東南アジアでも日本とほぼ同じ時期に合法的な手段でアニメを視聴できるようになりました。こうした視聴環境の変化もあり、日本のトレンドが東南アジアにもダイレクトに影響を与えています。たとえば異世界ものやBLなど、日本で流行っているジャンルはシンガポールでも人気です。

――東南アジアでも、動画のサブスクリプションサービスに加入している人は多いのでしょうか。

ショーン:多いです。東南アジアでは約60%の人が動画のサブスクリプションサービスにお金を払ってもいい、と考えています。とくにシンガポールの人は、テレビやパソコンなどの大きな画面と、いいスピーカーを組み合わせて動画を見ようとする傾向が強いです。こうした事情から、シンガポールでは動画のサブスクリプションサービスへの加入をポジティブに考える人がとくに多く、約80%の人が満足感を抱いています。

――以前のインタビューで「日本製だけを売りにしてしまうと、アニメの海外進出は難しくなるだろう」とおっしゃっていました。その状況は今でも変わりませんか?

ショーン:変わりません。単に「日本製アニメだから売れるだろう」という考えはもう通用しなくなっていると思います。流通ネットワークの構築など、新たなビジネス戦略をこれまで以上に考えていかなければ難しいです。また、国内向け展開に適した作品もあれば、海外に向けて発信したほうが人気の出る作品もあるので、ターゲットを見極めることも大切だと思います。


AFA SG 2022が提案するリアルイベントの新たな形― SOZO Pte.Ltd代表ショーン・チン【インタビュー】

《ハシビロコ》

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