東宝、2026年2月期決算で過去最高を更新。「鬼滅」「国宝」の歴史的ヒットと「IP・アニメ事業」を成長エンジンに世界を見据えるエンタメ企業へ

東宝は2026年2月期決算で営業収入3,606億円、営業利益678億円と全主要指標で過去最高を更新。「鬼滅の刃」「国宝」などのヒット作が牽引。IP・アニメ事業を独立セグメント化し、グローバル展開を加速。

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東宝、2026年2月期決算で過去最高を更新。「鬼滅」「国宝」の歴史的ヒットと「IP・アニメ事業」を成長エンジンに世界を見据えるエンタメ企業へ
東宝、2026年2月期決算で過去最高を更新。「鬼滅」「国宝」の歴史的ヒットと「IP・アニメ事業」を成長エンジンに世界を見据えるエンタメ企業へ

東宝株式会社が2026年4月14日に発表した2026年2月期(2025年3月~2026年2月)の連結決算は、全主要指標で過去最高を更新する結果となった。営業収入3,606億6,300万円(前期比15.2%増)、営業利益678億8,900万円(同5.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益517億6,800万円(同19.4%増)——いずれも記録を塗り替えた。『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』のメガヒットに加え、22年ぶりに邦画実写の興収記録を更新した『国宝』など、歴史的な作品が映画事業を力強く牽引した。

好決算を受けて同社は、年間配当金を1株110円(株式分割前)に増額。1株につき5株の株式分割(2026年3月1日付で実施済)と130億円を上限とする自己株式取得も合わせて発表した。今期からは、「映画事業」に内包されていたアニメ・IPビジネス領域を切り出し、「IP・アニメ事業」として報告セグメントを独立させている。

この決算の全貌をひもときながら、新セグメントの実態と急速に進むグローバル展開の現状を詳しく見ていく。


ROEは10.4%で長期目標に早くも到達

数字の全体像を見渡すと、東宝の収益基盤の強さが改めて際立つ。営業収入は前期比15.2%増の3,606億円、当期純利益は同19.4%増の517億円と大幅な伸びだ。ROEは10.4%(前期9.3%)に改善し、長期ビジョン2032が目標として掲げる「恒常的に10%以上」に向けて大きく前進した。

当期は一部マイナス要因も抱えていた。連結子会社スバル興業が公正取引委員会の立入検査を受け、約13億円の独占禁止法関連損失を特別損失に計上。帝劇ビル解体に伴う固定資産解体費用14億円も発生した。ただ本業の稼ぐ力がそれらを吸収し、政策保有株式の売却による投資有価証券売却益約89億円も純利益を押し上げた。

次期(2027年2月期)の予想は、営業収入3,450億円(前期比4.3%減)、営業利益620億円(同8.7%減)と保守的だ。当期にメガヒットが集中した反動減を見込んでいるほか、IP・アニメ事業の海外インフラ整備や成長投資にかかる全社費用が前期比30~35億円増える見通しも影響している。もっとも東宝はこの期初予想を「特大ヒットを見込まない成長のベースライン」と位置付けており、各作品のヒット次第で上振れを狙う姿勢は変わらない。


《杉本穂高》

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杉本穂高

Branc編集長 杉本穂高

Branc編集長(二代目)。実写とアニメーションを横断する映画批評『映像表現革命時代の映画論』著者。様々なウェブ媒体で、映画とアニメーションについて取材・執筆を行う。

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