株式会社KADOKAWAとnote株式会社は2026年3月24日、次世代のIP運用エコシステムを構築することを目的に、資本業務提携を締結したと発表した。デジタル化や生成AIの普及によりコンテンツ流通が大きく変化する中、クリエイターが作品をより多くの人に届け、収益を得て創作活動を継続できる新しい仕組みづくりを目指す。
提携の背景:両社の強みを掛け合わせたシナジーの創出
KADOKAWAは、世界中から才能を発掘して多彩なIPを創出し、出版を起点にアニメやゲームなど多角的なメディア展開を行っている。一方、noteは「だれもが創作をはじめ、続けられるようにする」をミッションに掲げ、会員数1,114万人、公開コンテンツ数6,956万件(2025年11月末時点)を擁する日本有数のメディアプラットフォームである。
両社は、クリエイターによるコンテンツ創出とプラットフォーム運営において高い親和性を持つ。KADOKAWAが持つ編集・メディア力と、noteが有するトラフィック、SaaS基盤、UGCエコシステムを掛け合わせることで、AIを基盤としたデータ流通モデルや次世代のIP運用エコシステムへの進化において大きなシナジーが期待できるとし、今回の提携に至った。
4つの主要な協業領域:出版DXからAIデータ流通まで
本提携では、主に以下の4つの領域で協業を進めていく。
IP創出・開発領域 「note」発の書籍化を推進し、既存の出版プロセスにとらわれないデジタル発の次世代コンテンツ開発の仕組みを構築する。グッズやイベント展開も見据えたコンテンツ開発や、noteのメンバーシップ機能等を活用した作家の収益化支援も共同で行う。
出版DX領域 KADOKAWAが保有する一部のWebサイトにおいて「note pro」のSaaS基盤を活用し、運営体制の効率化とコストダウンを推進する。同時に、「note」の特性を活かしたSEOおよびAI検索からの流入強化や、コンテンツの反響を出版・販促につなげるバリューチェーンの構築に取り組む。
AIデータ流通領域 noteが採択されている経済産業省主導の生成AI強化プロジェクト「GENIAC」等を通じ、AI時代における健全なデータ流通基盤を構築する。著作権者に還元される収益モデルの構築や、権利関係を明確にしたRAG(検索拡張生成)モデルの共同実証などを進める。
ファンコミュニティ領域 KADOKAWAグループの動画配信技術やノウハウを「note」へ活用することについて協議・検討を進める。「note」上での映像・音声配信を通じてクリエイターとファンのエンゲージメントを深め、プラットフォーム間での会員基盤の拡大と新たな収益機会の創出を目指す。
両社代表のコメントと今後の展望
note代表取締役CEOの加藤貞顕氏は、KADOKAWAとの提携について「すばらしい原作を多数つくり、マルチプラットフォームで作品を広げていくことを長年続けてきたKADOKAWAとご一緒できることはたいへん光栄」と述べ、「AI時代にふさわしい創作の新しいエコシステムをつくっていきたい」と語った。
また、KADOKAWA取締役 代表執行役社長CEOの夏野剛氏は「noteから生まれる多様な才能や熱量は、次世代IPを創出する重要な源泉」と評価し、「クリエイターの才能をこれまでにないスピードで世界へ届ける新たなエコシステムを、noteと共に構築してまいります」と意気込みをコメントしている。

