2025年の北米映画興行はZ世代とリピーターが牽引——日本アニメやホラーが若年層を劇場に呼び戻したと業界団体が分析

北米の映画館業界団体Cinema Unitedは2025年12月、最新の市場レポート「The Strength of Theatrical Exhibition」を発表した。本レポートは、デジタルデバイスの普及による競争激化の中にあっても、映画館が「体験型経済」として重要であることを示している。

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出典:Cinema United
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北米の映画館業界団体Cinema Unitedは2025年12月、最新の市場レポート「The Strength of Theatrical Exhibition」12月のアップデート版を発表した。本レポートは、デジタルデバイスの普及による競争激化の中にあっても、映画館が「体験型経済」として重要な位置にあることを示している。

2025年の北米市場は、劇場の設備投資、アニメやホラーといった特定ジャンルの若年層への浸透により、力強い回復と成長を見せたとレポートは結論。特にZ世代の鑑賞頻度は前年比で大幅に増加しており、業界の未来を担う観客層の育成が順調に進んでいるとした。


15億ドルの設備投資が奏功:食事とプレミアム体験が若者を劇場へ呼び戻す

2025年の北米映画興行における最大のトピックは、劇場設備への再投資が直接的な集客増につながった点だ。北米の興行会社は過去1年間で15億ドル以上を劇場のアップグレードに投じた。その結果、ロイヤリティプログラムの会員数は現在1億3600万人に達し、2024年と比較して15%の増加を記録している。

注目すべきはZ世代の動向だ。習慣的な映画ファン全体の割合は24年の25%から33%へ増加しており、中でもZ世代の年間6回以上鑑賞する層は41%(2022年は31%)に達している。

この背景には、若年層が求める「体験」への投資がある。Z世代が映画館を選ぶ理由として挙げた上位の要因は以下の通りである。

  • プレミアム・ラージ・フォーマット(PLF)スクリーン: 38%

  • 座席での飲食オーダーサービス: 33%

  • デラックス/ラウンジシート: 33%

単に映画を上映する場所から、リクライニングシートや充実したフードメニューを提供する「プレミアムな娯楽空間」への転換が、デジタルネイティブ世代を物理的な劇場へと回帰させている。


《杉本穂高》

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杉本穂高

Branc編集長 杉本穂高

Branc編集長(二代目)。実写とアニメーションを横断する映画批評『映像表現革命時代の映画論』著者。様々なウェブ媒体で、映画とアニメーションについて取材・執筆を行う。

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