【VIPO】映画業界の労働環境改善へ、「スタッフ実態調査」と「データベース登録」を開始

VIPOは映画労働環境改善と人材不足解消を目的に調査やデータベースを開始し、キャリア支援や技術向上に役立てる。

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【VIPO】映画業界の労働環境改善へ、「スタッフ実態調査」と「データベース登録」を開始
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特定非営利活動法人映像産業振興機構(VIPO)は2025年12月3日、映画業界における人材不足の解消と労働環境の改善、さらに海外展開を見据えた次世代育成を目的として、映画スタッフを対象とした「データベース登録」および「実態調査アンケート」の受付を開始した。

本取り組みは、文化庁の補助金により日本芸術文化振興会に設置された「文化芸術活動基盤強化基金(クリエイター支援基金)」を活用した事業の一環。長年の課題である映画制作現場の労働環境改善や人材の空洞化に対し、客観的なデータに基づいた解決策と、具体的なキャリア支援プラットフォームの構築を目指す。


現場の「不満」をデータ化し、実効性のある研修プログラム開発へ

今回実施される「映画スタッフアンケート」は、今後VIPOが開発を予定している「映画技術スタッフ向け研修プログラム」の設計に向け、職能別の具体的なニーズと課題を洗い出すことにある。

調査を通じて構築される基礎データは、主に以下の3点の実現に活用される。

  1. 労働環境・待遇の公式データ化:現場スタッフが抱える不満や課題を数値化し、待遇改善および育成機会の提供に向けたロードマップ作成の根拠とする。

  2. 世界標準スキルの特定:海外との国際共同製作などを見据え、現場で真に必要とされている技術を特定。世界に通用する実践的な研修カリキュラムへ反映させる。

  3. キャリアパスの開拓:業界内で曖昧になりがちなキャリアの道筋を明確化し、キャリア停滞の打破を図る。

VIPOは、現場の声を集約することで、実態に即した業界改革の足がかりにする狙いだ。

「人材マッチング」も視野に入れたデータベース構築

アンケートと並行して「映画スタッフデータベース」の構築も開始された。これは、スタッフ個々のキャリアや職種別の人口統計を可視化することで、感覚値で語られがちだった「人材不足」の実態を正確に把握するための基盤となる。

本データベースは、将来的な「キャリア支援プラットフォーム」へと役立てることを目標としている。単なる統計収集に留まらず、登録者のスキルレベルや経験に応じた最適な研修情報の提供、さらには新たなプロジェクトやポジションへの人材マッチング機能の実装も検討されている。

フリーランススタッフが多い映画業界において、個人の能力を可視化し、適切なプロジェクトへ接続する仕組みができれば、業界全体の生産性向上と人材流動の活性化に寄与する可能性がある。

今回の施策は、国の「文化芸術活動基盤強化基金(クリエイター支援基金)」を活用しており、映画業界の持続可能性を高めるための国レベルでの支援施策の一環となる。

日本映画の海外展開が加速する昨今、制作体制のグローバルスタンダード化は急務だ。VIPOでは、本取り組みを「業界全体の改革と次世代育成の確かな第一歩」と位置づけており、映画スタッフや関係者に対し、積極的な登録と回答、および周知協力を呼びかけている。

実態調査およびデータベース登録の詳細は、VIPO公式サイトにて確認できる。

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《Branc編集部》

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