KADOKAWA、イタリア大手マンガ出版社Edizioni BDを子会社化 ― 欧州展開を加速

KADOKAWAはイタリアのマンガ出版社Edizioni BDを子会社化を発表。欧州での日本コンテンツ展開を強化する。

ビジネス M&A
左:夏野剛氏、右:Marco Schiavone氏
左:夏野剛氏、右:Marco Schiavone氏
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株式会社KADOKAWAは、イタリアに本拠を置くマンガ・ライトノベル出版社Edizioni BD S.r.l(以下、Edizioni BD)を子会社化することを2025年5月14日に合意、19日に公表した。KADOKAWAはEdizioni BDの株式70%を取得し、欧州における日本コンテンツの展開強化を図る。

欧州第2位のコミック市場における拠点強化

KADOKAWAは「グローバル・メディアミックス with Technology」を基本戦略に掲げ、北米、中華圏、東南アジア、欧州を中心に海外展開を進めてきた。今回のEdizioni BDの子会社化は、その一環として欧州市場のプレゼンス拡大を目的としたものだ。

Edizioni BDは2005年に設立され、イタリア・ミラノを拠点にマンガおよびライトノベルのイタリア語翻訳出版事業を展開。年間約500点の書籍を刊行し、現地における日本コンテンツのファン層を着実に拡大してきた。独自の装丁や帯の導入など、日本と同様の形式での出版に先駆けて取り組んだ実績を持ち、イタリア市場における日本マンガの普及に貢献してきた。

イタリアでは「フメッティ(fumetti)」と呼ばれる独自のコミック文化が根強く、日本アニメの放映が始まった1970年代以降、日本マンガの翻訳出版市場が形成された。2016年にはカルチャー・パス制度が導入され、若年層による書籍購入が活性化し、同国のコミック市場はフランスに次ぐ欧州第2位の規模に成長している。

ライトノベルや商品展開も視野に入れた事業拡大

KADOKAWAは今後、Edizioni BDを通じて自社作品にとどまらず、幅広い日本マンガの翻訳出版を推進する方針である。また、日本のライトノベルや関連商品の展開にも注力し、隣国フランスなど他の海外拠点との連携を強化しながら、欧州全体でのIP事業の拡大を目指す。

なおKADOKAWAは、本件による2025年度連結業績への影響は軽微としている。

Edizioni BD CEO マルコ・スキアヴォーネ氏 コメント

「日本の大手エンターテインメント企業から直接投資を受ける初のイタリア現地出版社となることは本当に素晴らしいことです。日本と読者の皆様を直接つなぐという私たちの使命はより強固に果たされるでしょう。私たちは、KADOKAWAという、イタリアのマンガ市場、国の特殊性に非常に関心を持ち、事業拡大に協力的かつ好奇心旺盛なパートナーと出会えました。ここから野心的でエキサイティングな旅が始まります。」

KADOKAWA CEO 夏野剛氏 コメント

「Edizioni BDは過去20年間にわたり、イタリアのマンガ市場の成長に多大な貢献をしてきました。この度、同社をKADOKAWAグループに迎え入れることができ大変嬉しく思います。今後、イタリアにおけるマンガやライトノベルのさらなる市場拡大を目指し、同社とのパートナーシップを一層強化してまいります。」

《杉本穂高》

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杉本穂高

Branc編集長 杉本穂高

Branc編集長(二代目)。実写とアニメーションを横断する映画批評『映像表現革命時代の映画論』著者。様々なウェブ媒体で、映画とアニメーションについて取材・執筆を行う。

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