ソニーグループ(以下、ソニー)は、インドでテレビ事業やストリーミング事業を展開する地元大手Zee Entertainment(以下、Zee)と100億ドル規模の合併計画の中止をめぐる法的紛争に発展していたが、ついに決着がついたことが明らかとなった。
ソニーとZeeの合併計画が最初に報じられたのは、2021年12月のこと。当時は、「100億ドル規模の巨大メディアが誕生か」と注目されたが、今年1月にソニーがZeeとの合併を撤回。その主な原因は、合併後の事業体を誰が率いるかについて、両社の間で意見が分かれたことにあるとされている。
Hindustan Timesによると、合併計画から撤退後にソニー・ピクチャーズ・ネットワークス・インディア(以下、SPNI)は、Zeeが合併契約の条件に違反したとして、9,000万ドル(現為替で約130億円)の解約金を請求。対するZeeは、今年5月にSPNIとその子会社であるBangla Entertainment Pvt. Ltd. (以下、BEPL)に対し、9,000万ドルの解約金を請求した。
Zeeは訴状で、Culver Maxx(ソニーの子会社)とBEPLが合併協力契約(MCA)に基づく義務を守らなかったためMCAを解約し、その結果として発生する解約金をCulver MaxxとBEPLに請求したと主張していた。
しかし、2024年4月にZeeは提訴を取り下げ、8月27日(現地時間)に、「ソニーとの合併解消に関する全紛争を解決する契約を締結した」と声明を発表。
The Hollywood Reporterによると、Zeeとソニーは、「和解の一環として、両社はシンガポール国際仲裁センターで進行中の仲裁、および会社法(上訴)審判所と他のフォーラムで開始された全法的手続きにおいて、お互いに対する全ての請求を取り下げることに合意しました」と述べている。さらに、「この和解は、両社が新たな目的を持って将来の成長機会を独自に追求し、進化するメディアとエンターテイメント業界に焦点を当てるという相互理解から生まれたものであり、すべての紛争の最終的な終結を意味します」と付け加えている。
合併の失敗と法的紛争は、急速に変化するインドのエンターテイメント業界における統合とデジタル化の進展期に、規模拡大を目指していたソニーとZeeにとって大きな後退と見なされた。
ソニーとZeeの法的紛争が決着をついたことを機に、両社がさらなる成長とイノベーションを追求できる機会が開かれることが期待されている。