2026年度に売上高1,600億円突破計画を立ち上げたテレビ東京、EC事業の拡大が本丸か?【決算から映像業界を読み解く】#54

テレビ東京が正念場を迎えている。

ビジネス 決算
2026年度に売上高1,600億円突破計画を立ち上げたテレビ東京、EC事業の拡大が本丸か?【決算から映像業界を読み解く】#54
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テレビ東京が正念場を迎えている。

2024年3月期が減収、営業減益となったのだ。テレビ東京は2024年3月期の期首に増収、営業増益を予想していた。2024年2月7日の第3四半期の決算発表時も業績の下方修正は行わなかった。この時点で売上高は前年同期間比0.6%、営業利益は同29.3%それぞれ減少していた。

ふたを開ければ不本意な結果となり、5月15日の決算と同時に自社株買いも発表している。株主への配慮だろう。同時に中期経営計画も公表し、2026年度(2027年3月期)の売上目標を1,646億円とした。2024年3月期よりも161億円高いものだ。

成長投資枠として準備した200億円が目標達成のカギを握っている。

地上波・BS放送事業のみ減収減益

2024年3月期の売上高は前期比1.6%減の1,485億円、営業利益は同4.3%減の88億円だった。期首予想は売上高が前期比4.0%増の1,570億円、営業利益は同95億円だった。売上高は予想比5.6%、営業利益は同7.4%それぞれ減少した。

決算短信中期経営計画より筆者作成(2026年3月期以降は計画)

2024年3月期の地上波・BS放送事業の売上高は前期比4.9%減の947億円、営業利益は同20.8%減の36億円。テレビ東京は地上波・BS放送事業、アニメ・配信事業、ショッピング・その他事業の3つを主軸としているが、減収減益となったのは主力の地上波・BS放送事業だけだ。

■2024年3月期事業別業績

決算短信より

地上波放送事業の売上高は4.0%減の760億円。10月の番組編成で営業企画番組が終了したことや、ゴールデン帯に放送される番組スポンサーの減少が響いた。2023年10月はバラエティ番組の『デカ盛りハンター』が終了。『日曜ビッグバラエティ』の放送時間が日曜日18時半から20時半に変更になったためだ。

しかし、2024年3月に『ヤギと大悟』の後枠として『デカ盛りハンター』を復活させると発表。4月5日から放送を再開している。

その他、10月の番組編成では『巨大企業の日本改革3.0』、『テレ東卓球塾~ひとラリー、いっとくぅぅぅ?~』などが終了。地上波放送事業は、タイム収入、スポット収入ともに減収となっている。

BS放送事業の売上高は、前期比6.6%減の157億円。4月以降の1社提供レギュラー番組の終了、通販番組に出稿減が影響している。スポット収入は商品量を確保して通販スポンサーを中心に売上を伸ばすことができたが、タイム収入の落ち込みをカバーするには至らなかった。

テレビ産業が斜陽化しつつある中で、主力の放送事業の落ち込みを立て直すのは難しい。これはテレビ東京だけでなく、民放キー局にも言えることだ。テレビ東京にはキー局のような不動産収益がないに等しい。本業で収益性を確保しなければならない難しさがある。

アニメの権利収入の8割は海外から

アニメ・配信事業の業績は堅調だ。2024年3月期の売上高は、前期比1.0%増の445億円、営業利益は同12.1%増の59億円だった。地上波・BS放送事業の営業利益率は3.8%ほどだが、アニメ・配信事業は13.2%と高い。この事業のポイントは出資したアニメから得られる権利収入があることだ。


《不破聡》

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