サイバーエージェントのメディア事業が悲願の黒字化達成、収益構造にも変化が【決算から映像業界を読み解く】#48

サイバーエージェントのメディア事業が好調だ。

ビジネス 決算
サイバーエージェントのメディア事業が悲願の黒字化達成、収益構造にも変化が【決算から映像業界を読み解く】#48
サイバーエージェントのメディア事業が悲願の黒字化達成、収益構造にも変化が【決算から映像業界を読み解く】#48
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サイバーエージェントのメディア事業が好調だ。

2024年9月期2Q単体(2024年1月1日~2024年3月31日)で1.6億円の営業利益を出した。メディア事業開始以来、四半期単体で黒字化したのは今回が初めてだ。

これまで業績の伸びに貢献していたのは、公営競技投票サービスのWINTICKETだった。依然としてWINTICKETの貢献度は高いものの、今期はABEMA広告の増収効果が大きい。大谷翔平選手の活躍で話題の「MLB(メジャーリーグベースボール)」をフックにABEMAの利用者数が増加。広告収入に繋がっているようだ。

メディア事業はDAZNやWOWOWと手を組んでスポーツ放送に力を入れている。いよいよメディア会社としての頭角を現してきた。

CygamesPicturesが初の劇場版アニメーションを制作

サイバーエージェントの2024年9月期第2四半期累計(2023年10月1日~2024年3月31日)の売上高は、前年同期間比12.4%増の4,082億円、営業利益は同56.0%増の273億円だった。通期の売上高を前期比4.1%増の7,500億円、営業利益を同22.2%増の300億円と予想している。

ゲーム「ウマ娘 プリティーダービー」の大ヒットで2021年9月期の営業利益率が15.7%まで高まったものの、その反動や「FIFA ワールドカップ」配信権の取得で費用が嵩み、2023年9月期の営業利益率は3.4%まで下がった。2024年9月期は予想通りの着地で4.0%だ。

決算説明資料より

上半期の営業利益率は6.7%。好調な数字で折り返し地点を通過している。売上高の予想に対する進捗率は54.4%で、営業利益は91.2%に達している。上方修正も視野に入る数字だ。

一時は沈みかけたゲーム事業の回復が目覚ましい。2024年9月期2Q単体の売上高は前年同期間比8.1%増の671億円、営業利益は同19.8%増の182億円だった。2024年2月に販売した「GRANBLUE FANTASY: Relink」が発売から11日で全世界100万本を突破した。PlayStation用ソフトかつ海外の購入者が8割であり、スマートフォンゲームのウマ娘とサービス内容が大きく異なる。収益分散がされた点は大いに評価されるべきだろう。

ウマ娘はメディアミックス展開を行っており、ゲームから離れてファンを獲得していることも特徴だ。2024年5月24日に映画『ウマ娘 プリティーダービー 新時代の扉』が公開される。サイバーエージェントの立ち上げたアニメーション制作会社CygamesPicturesが初めて手掛ける劇場版アニメだ。配給は東宝が行う。

TVアニメーションのDVD販売は2期が売れ行き好調だったものの、3期は失速気味だった。映画の公開はIPの人気を占う試金石となるだろう。

広告収入が「FIFA ワールドカップ」時を上回る

メディア事業の2024年9月期2Q単体の売上高は前年同期間比25.8%増の420億円だった。1.6億円の営業利益で、前年同期間の5億円の赤字からの黒字転換を果たしている。

決算説明資料より

ABEMAの視聴数底上げに貢献しているのがスポーツだ。「FIFA ワールドカップ」放送時のWAU(1週間当たりの利用者数)は3,409万人に跳ね上がった。この年のWAUの平均は1,879万で、前年から240万積み上げることに成功している。


《不破聡》

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