Amazon.comが米証券取引委員会(SEC)に提出した年次報告書(Form 10-K)および2022年通期決算資料によると、同社の2022年における動画・音楽コンテンツへの総支出額は166億ドル(約2兆2000億円※)に達し、前年の130億ドルから約28%増加したことがわかった。
巨額投資の背景には、同社が「Prime Video」の強化を鮮明にしていることがある。特に2022年は、NFL(米プロフットボールリーグ)の『Thursday Night Football』の独占配信開始や、制作費が話題となったオリジナルドラマ『ロード・オブ・ザ・リング: 力の指輪』などの大型タイトルが相次いだ。
Amazonによると、『ロード・オブ・ザ・リング: 力の指輪』シーズン1は全世界で1億人以上の視聴者を集め、ストリーミング時間は240億分を超えた。このヒットにより、配信開始期間中のPrime会員登録数は過去最多を記録したという。
また、コンテンツの資産価値評価についても強気な見通しを示している。Form 10-Kの中で同社は、視聴パターンの変化により、資産化されたビデオコンテンツの推定耐用年数(償却期間)が延びていると言及。これにより、2023年の営業利益には約10億ドルのプラス効果が見込まれるとしている。
一方、Amazon全体の2022年通期決算は、売上高が前年比9%増の5,140億ドルと過去最高を更新したものの、純損益は27億ドルの赤字(前年は334億ドルの黒字)となった。
赤字転落の主な要因は、出資先である電気自動車メーカーRivian Automotiveの株価下落に伴う評価損127億ドルを計上したことだ 。本業の「稼ぐ力」を示す営業利益も、燃料費高騰や物流コスト増の影響を受け、前年の249億ドルから122億ドルへと半減している。
それでも、稼ぎ頭であるクラウド事業「AWS(Amazon Web Services)」は売上高が前年比29%増の801億ドルと堅調に成長しており、エンタメ分野への積極投資を下支えする構図は変わっていない。
アンディ・ジャシーCEOは「短期的には不透明な経済状況に直面しているが、長期的には非常に楽観的だ」とし、エンターテインメントやヘルスケアなど、顧客体験を広げる分野への投資を継続する姿勢を示している。
Source:Amazon.com,FORM 10-K
