英国のテレビ・映画業界では今もセクハラが蔓延、問題に取り組めていないことが報告書で判明

映画業界は男女の格差が大きく、男性の方が権力のある地位に就いているケースが多いため、セクハラや性的虐待が起こりやすいとの分析

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英国のテレビ・映画業界では今もセクハラが蔓延、問題に取り組めていないことが報告書で判明
Image by rawpixel.com on Freepik 英国のテレビ・映画業界では今もセクハラが蔓延、問題に取り組めていないことが報告書で判明

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世界中の女性たちが、セクシャルハラスメントや性的暴行被害について声を上げた「#MeToo」ムーブメントが始まってから6年経つが、いまだに英国のテレビ・映画業界ではセクハラが蔓延し、問題に取り組めていないことが報告書で判明した。

英ヨーク大学の調査チームが、英国のテレビ・映画業界でセクハラ・性的虐待を受けた18名にインタビューを行い、その結果を「Safe To Speak Up?(声を上げても安全か)」と題した報告書にまとめている。対象者は、2020年以降に職場で22件の被害を受けたとのこと。

その18名は、映画や主要テレビ局の番組、ドラマシリーズ、ドキュメンタリー、リアリティ番組などで働き、その肩書きはプロデューサーやショーランナー、出演キャストなど。回答者は、職場で性的なコメントや性的な画像の一方的な共有、望まない性的アプローチ、猥褻な露出などの被害を受けたと報告している。

回答者の何人かは、被害を通報しようとしたら阻止されたり、他言しないよう思い留まらされりしたと明かしており、実際に報告した者は罰せられたり別の被害に遭ったりし、一部の被害報告は隠蔽されたという。被害者が経験したセクハラや性的虐待は様々な職場環境で発生し、特に職場の社交イベントやロケ地での撮影、国際的な業界イベントが危険だと記されている。インタビュー対象者は被害に遭った後、自身を恥じる感情や自信喪失、パニック発作などに悩まされたとも語った。

TBI Visionによると、18名のうちの多くがセクハラに関する職場の取り組み状況を認識していなかったとのこと。雇用主は、苦情に対して正式な手続きを踏まない傾向が強く、報告書は、そのような対応は不十分で、さらなる被害を生む可能性もあると警告している。

この調査を率いた英ヨーク大学教育学部のアンナ・ブル博士は、「セクハラは様々な職場で発生する可能性がありますが、従業員間における不平等のレベルが大きい職場ほど、より蔓延しています」と指摘。また映画業界は男女の格差が大きく、男性の方が権力のある地位に就いているケースが多いため、セクハラや性的虐待が起こりやすいと分析している。

ブル博士は、「調査結果は、業界の一部で良い取り組みが行われている一方で、やるべきことがまだ数多く残っていることを示しています」と述べ、この調査が状況の改善に役立てることを願っているとコメントした。また、映画・テレビ慈善団体のメンタルヘルス部門で責任者を務めるルーシー・タロン氏は、「いまだに映画業界ではセクハラが蔓延しており、その根は深く有害です」と問題を提起した。

《Hollywood》

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ロサンゼルスに11年在住していた海外エンタメ翻訳家/ライター。海外ドラマと洋画が大好き。趣味は海外旅行と料理、読書とカメラ。

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