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5月から全米脚本家組合(WGA)が、そして7月に入り映画俳優組合 - 米国テレビおよびラジオ芸術家連盟(SAG-AFTRA)もストライキを決行し、今もなお行われている。それぞれ約3ヵ月/約1ヵ月が経とうとしている中で、最新のニュースをまとめた。
ストライキの中、ハリウッドの労働者のためのフードドライブが1,000世帯に提供される
The Hollywood Reporterによると、IATSEとTeamsters Local 399らが8月24日に開催した食料配給イベントでは、ストライキによって経済的な影響を受けているハリウッド労働者の約1,000世帯に提供されたという。このフードドライブは、直近2ヵ月で2度目。SAG-AFTRAがストライキに参加した直後の7月にはバーバンクにある旧組合西海岸本部で同様のフードドライブが開催され、1,740個のフードボックスを配布、推定8,700人に食事が提供された。缶詰や箱詰めの食料品、農産物、おむつや石鹸を含むパーソナルケア用品に加え、L.A.リージョナル・フードバンクと協力し、肉類、農産物、乾物も提供。さらにサミュエル・ゴールドウィン・フィルム社のピーター・ゴールドウィン社長は、1万ドル相当の紙おむつを寄付した。
また、24日のイベントには多くの組合員がボランティアを希望したため、主催者側は250人という締め切り人数を設定せざるを得なかったとのことだ。ボランティアとして参加したアリソン・テイラー氏はロケーション・マネージャーとして務めていたが4月から仕事がなく、その間に緊急貯金を使い果たしてしまったという。さらにボランティアや主催者は、ガソリン代を節約するためにフードドライブに相乗りするハリウッドの労働者や、子どもたちの新学期費用を心配する家族を見かけたと語った。長引くストライキによる経済的な影響はかなり大きなものになってきている。
「セヴェランス」や「TOKYO VICE」のスタジオFIFTH SEASON、ハリウッド・ストライキの影響でスタッフ30名を解雇
CJ ENM所有の制作・配給会社FIFTH SEASONの従業員が今年2度目のレイオフに見舞われたとVarietyが報じている。従業員の約12%にあたる30人のスタッフが8月24日に解雇され、4月に8人のスタッフが解雇されたことに続いたとのことだ。今回の人員削減はハリウッドストライキによる事業運営への影響が原因だと同社の広報担当者は述べている。さらに、30人中に経営幹部職と管理職の人たちも含まれていることを示し、事情に詳しい関係者は影響を受けたエグゼクティブの中に“Cレベル”の人はいなかったと語っているという。
WGA、スタジオ側の最新オファーは「まだ十分ではない」と指摘
VarietyによるとWGAは8月23日、スタジオ側からの最新の提示は「まだ十分ではない」と組合員に伝え、AMPTPの提案には「抜け穴、制限、省略」が多すぎると述べている。具体的な提案として、AMPTPはストリーミングの視聴率データをWGAのスタッフ6人だけに公開する許可を申し出たという。このデータによって今後3年間は視聴率に基づく残留報酬の提案を作成することができるが、WGAは「限定的である」とし、AMPTPの提案には含まれていない視聴データに基づく追加報酬を要求し続けている。
また、WGAはAIについてスタジオ側が譲歩したことを認めたが、AI訓練にWGAの作家たちの作品を使用することについての規制は現状の提案では触れられていないとIndie Wireが報じている。