英国もストライキの可能性、AMPTPがWGAに新提案を提示【8/24】ハリウッドストライキまとめ

AMPTPによるWGAへの新提案/世論調査でアメリカ人の67%がストライキを支持/英国もストライキに直面する可能性も

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英国もストライキの可能性、AMPTPがWGAに新提案を提示【8/24】ハリウッドストライキまとめ
Photo by Michael M. Santiago/Getty Images 英国もストライキの可能性、AMPTPがWGAに新提案を提示【8/24】ハリウッドストライキまとめ

Photo by Michael M. Santiago/Getty Images

5月から全米脚本家組合(WGA)が、そして7月に入り映画俳優組合 - 米国テレビおよびラジオ芸術家連盟(SAG-AFTRA)もストライキを決行し、今もなお行われている。それぞれ約3ヵ月/約1ヵ月が経とうとしている中で、最新のニュースをまとめた。

AMPTPが各データの透明性、AI、残留報酬に関する新提案を発表

The Hollywood Reporterによると、AMPTPはギルド指導者とハリウッドのCEOとの会合の後、8月11日にWGAに提案した内容を明らかにしたとのことだ。

交渉グループは、AIによって生成された著作物を契約において「文学的著作物」と見なすことを禁止し、ストリーミング・プロジェクトごとのSVOD視聴時間の詳細を四半期ごとに組合に報告することを提案している。加えて、スタジオがAIによって制作された“過去に出版または利用されていない”文章を作家に提供する場合、一定のガイドラインを提示することも提案している。AIが制作したコンテンツは、ライターに報酬を支払う際に“割り当てられた素材”として考慮されず、クレジットに関する議論にも加味されない。その素材がAIによって書かれたものであることは、脚本家に知らされなければならず、AIが作成したコンテンツは分離権(※)の資格から脚本家を除外する根拠とはならない。WGAは当初、AIが制作した作品を“原作”または“文学的素材”と見なすことを禁止し、契約の対象となる著作物がAIの訓練に使用されることを防ぐことを求めていた。

※分離権:WGAの最低基本契約に基づき、原作者に提供する権利のグループ。通常、脚本家組合員がオリジナルの脚本やテレビドラマを書くために雇われた場合、その著作権は雇用者に帰属するが、WGAは特定の権利を「分離」し、代わりに作家に譲渡するよう交渉した

また、ライターズルームの最低期間と人員配置という脚本家の中心的な問題について、高予算のSVODと有料TVシリーズの「企画開発ルーム」(企画のGOサインが出る前後を含む)において、最低10週間の雇用を提案したという。

スタジオ側の情報筋によれば、8月18日に行われた両当事者の最新の話し合いで、AMPTPはWGAの最新の提案に応じ、現在ボールはWGA側にあるとのことだ。

世論調査でアメリカ人の67%がWGAとSAG-AFTRAのストライキを支持

Data for Progressが8月3日から5日にかけて1,124人を対象にオンライン調査を行った新しい世論調査によると、アメリカ人の大多数がWGAとSAG-AFTRAのストライキを支持し、ハリウッド・スタジオを好ましく思っていない人が複数いるとVarietyが報じている。世論調査では、有権者の67%が全米脚本家組合とSAG-AFTRAのストライキを支持しており、反対はわずか18%であった。

また、48%が大手スタジオを好ましく思っておらず、スタジオを支持しているのはわずか31%であった。この調査では、回答者の60%がNetflix、41%がHulu、35%がDisney+に加入していることもわかっている。そしてストライキ支持者に、好きな映画やテレビ番組の放送が遅れた場合考えを改めるかどうかを尋ねたところ、86%がストライキを支持し続け、10%が反対することが明らかになった。

さらにこの調査では、俳優がAIによって肖像権を使用された場合、同意と公正な報酬を得るべきだというSAG-AFTRAの立場を85%が支持していることがわかった。また、74%がスタジオは脚本家をAIに置き換えることを禁止すべきだと考えているという。この結果は、ロサンゼルス・タイムズ紙のために最近実施された別の世論調査とも類似しており、その調査では回答者の38%が俳優や脚本家に同情的で、7%がスタジオ側であることが分かった。また、29%が「どちらともいえない」と答え、25%が「意見はない」と答えた。

英国もまもなく俳優のストライキに直面する可能性があると警告

英国の俳優組合Equityのポール・フレミング事務局長は、同団体が今後12ヵ月以内に英国の俳優たちがストライキを起こす可能性があると警告したとTBI Visionが報じている。

彼は、米国でWGAとSAG-AFTRAがAMPTPに対して行動を起こしている争点と同様の内容について、Equityが懸念していることを強調した。Equityはすでに基本給の15%増を求める提案を出しており、その他の問題も対処するために取り組んでいる。EquityはSAG-AFTRAとWGAへの連帯を表明していた。

「私たちが見ているのは、争議が長引けば長引くほど、争議は深まり、難航し、英国業界が冷え込むということです」「SAG-AFTRAが勝とうとしているように、今後数ヵ月の交渉で私たちが勝利するために、可能な限り強力なポジションを確保することが必要なのです」とフレミング氏はコメントしている。

フレミング氏のコメントは、英国の組合Bectuが主催したウェビナーで発表されたもので、そこにはSAG-AFTRAのチーフ・ネゴシエーターであるダンカン・クラブツリー=アイルランド氏も参加。「米国のストライキが人々に多大な経済的影響を及ぼしていることを認めたい。その中にはクルーや、特にストライキ中のユニットに属していないにもかかわらず仕事の機会や生活に影響を受けている人々も含まれていることは承知している」「私たちのメンバーが傷ついていること、そして皆さんや他のメンバーもこの業界で苦しんでいることを知っていただきたい」とし英国のキャストとクルーの支援を賞賛した。

《伊藤万弥乃》

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伊藤万弥乃

伊藤万弥乃

海外映画とドラマに憧れ、英語・韓国語・スペイン語の勉強中。大学時代は映画批評について学ぶ。映画宣伝会社での勤務や映画祭運営を経験し、現在はライターとして活動。シットコムや韓ドラ、ラブコメ好き。