韓国警察、300本以上の映画の興行収入が不正に操作されていたと発表

韓国警察は16日、過去5年間に323本の映画の興行成績が水増しされていた証拠の発見を発表した。

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Photo by Chung Sung-Jun/Getty Images

Varietyによると韓国警察は16日、過去5年間に323本の映画の興行成績が水増しされていた証拠の発見を発表したとのことだ。

ソウル市警は、操作に加担した人たちのうち、観客数を2万人以上膨らませたケースを中心にCGV・ロッテシネマ・メガボックスの大手興行チェーン3社と映画配給会社24社の69人を検察に送検。今後検察は刑事事件にするかどうかを決定する。

ソウル警察庁の反腐敗・公共犯罪捜査隊は今年初めからこの分野の捜査を開始し、6月には国内3大映画館運営会社であるCJ-CGV、メガボックス、ロッテシネマの事務所を家宅捜索した。その際、配給会社のショーボックス、ロッテエンターテインメント、キダリENTの敷地内にも立ち入ったことが明らかになった。警察の捜査当局は最新情報の中で、合計98の映画配給会社と462の映画タイトルを調査したと述べている。

半官半民の通信社である聯合ニュースによると、警察は「映画配給会社と結託して、被告人である劇場関係者は2018年3月から今年6月にかけて、劇場で公開された映画の興行ランキングを上げるために、韓国映画振興委員会の興行成績集計サービス[Kobis]にチケット販売情報を捏造して入力した疑いがある」とし、「被告人らは特定の上映時間帯のチケットが完売したと虚偽報告し、不正操作の疑惑の結果、合計267万人の観客が過大にカウントされた」と話しているとのことだ。

数字が膨れ上がった作品の中には、チョ・グク元法務大臣を主人公にした2022年のドキュメンタリー『The Red Herring(英題)』とアクションスリラー『非常宣言』があったという。ソン・ガンホ、チョン・ドヨン、イ・ビョンホン出演の『非常宣言』は、2021年7月にカンヌでワールドプレミア上映されたが、配給会社ショーボックスによる韓国の劇場での商業公開は何度も延期された。2022年8月にようやくスクリーンに登場し、Kobisのサイトに残っているデータによれば、206万枚のチケットが売れ、1,570万ドルの興行収入を得たとされている。そのほかにも、『雨とあなたの物語』、『野獣の血』などの作品も観客数がかさ増しされていたそうだ。

チケット販売操作の疑惑は、コロナウイルスによって映画館ビジネスが大きく混乱し、KOFICがチケット引換券の形で追加補助金を提供した時期にも発生した。韓国の東亜日報によると、警察関係者は「観客数などの資料を送信する主体が映画上映館に限定されており、犯行を共謀した映画配給会社に対しては処罰する規定がない」とし、「文化体育観光部と映画振興委員会に制度改善を提案する予定」と述べたとのことだ。
《伊藤万弥乃》

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伊藤万弥乃

海外映画とドラマに憧れ、英語・韓国語・スペイン語の勉強中。大学時代は映画批評について学ぶ。映画宣伝会社での勤務や映画祭運営を経験し、現在はライターとして活動。シットコムや韓ドラ、ラブコメ好き。

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