ピケッティングに参加するルピタ・ニョンゴ。Photo by Cindy Ord/Getty Images
5月から全米脚本家組合(WGA)が、そして7月に入り映画俳優組合 - 米国テレビおよびラジオ芸術家連盟(SAG-AFTRA)もストライキを決行し、ハリウッド映画業界は歴史的瞬間を迎えようとしている。その分、様々な作品や世界中の映画製作・宣伝にも影響が出てきている。
なぜA級スターはSAG-AFTRAのピケラインに参加しないのか?
メリル・ストリープ、ジェニファー・ローレンス、ラミ・マレックらは、いつでもストライキに入る準備ができていると交渉期間中であった6月に表明したが、スタジオの門で看板を掲げたり、大合唱をしたりする姿はなかったとVarietyが報じている。また、レオナルド・ディカプリオはインスタグラムのストーリーに「ギルドと連帯する」と投稿したが、まだ直接抗議行動には出ていない。一方で、 ピケッティングに直接駆けつけているスターたちもいる。レイチェル・マクアダムス、ルピタ・ニョンゴ、マーク・ラファロ、キンタ・ブランソン、アリソン・ジャネイ、ボブ・オデンカークなどだ。すぐに参加しない理由の一つとして、彼らのイメージがあるのだろう。あるトップ・タレント・アドバイザーが匿名で語ったところによると、何人かのクライアントから、「どのピケに参加すべきか」「(メディア露出の可能性があるため)ヘアメイクを予約すべきかどうか」を尋ねられたという。この担当者は、ストライキは「非常に深刻な問題であり、レッドカーペットの機会ではない」と注意を促した。
あるエージェントは、「スターが実際に支援できるのは、救済基金への寄付と、スタジオのトップに裏で働きかけることだ」と語った。ドウェイン・ジョンソンは月曜日にSAG-AFTRA財団に7桁の寄付、ジェイミー・リー・カーティスと夫のクリストファー・ゲストも2万5千ドルを寄付したそうだ。
ストリーミング収入分配案で対立するSAG-AFTRAとAMPTPの意見
The Hollywood Reporterによると、SAG-AFTRAが提案とAMPTP側からの反対提案をまとめて開示した一覧表に対して、AMPTPは「プロデューサーの提案の特性や重要な詳細の省略など、大部分は誤解を招くものだ」と述べたとのこと。加えてAMPTPは改めて自らの応答を提示し、7月12日にSAG-AFTRAに提供した最終的なパッケージが10億ドル以上の報酬と福利厚生の向上を意味していたと述べている。SAG-AFTRAのストリーミング配信における収入の提案は、番組に帰属する収益も分かち合うという新たな対価を提供するものであるとし、AMPTPは「SAG-AFTRAは成功を“分かち合いたい”と主張していますが、失敗には参加したくないのだ。それは本当の分かち合いではない」と付け加えている。
また、AMPTPは、自らがプロデューサーのグループであるため、SAG-AFTRAの提案が「お金の流れに沿っていない」と主張。「コンテンツ供給者と興行主の関係を無視した一括提案である」と述べている。
AMPTP、SAG-AFTRAのAI使用に関する「インフォームド・コンセント」要求に同意
SAG-AFTRAの主要交渉担当者であるダンカン・クラブツリー=アイルランド氏は7月13日に、「映画スタジオ側はエキストラ俳優のAIスキャンと肖像を“永遠に”同意なしで複製したいと望んでいる」と非難していた。SAG-AFTRAは組合員が肖像権のライセンスを許可することで利益を得られる可能性があるため、AIの使用を完全に禁止しようとしているわけではない。しかし、インフォームド・コンセント(互いに十分な情報説明を得た上での同意)は必要であり、AIを追加のプロジェクトに使用する権利は別途交渉されなければならないと主張している。
これに対して、金曜日の声明でAMPTPは改めて、「インフォームド・コンセントに同意しており、エキストラ俳優に関するAIの個別交渉にも同意している」と述べたとVarietyは報じており、これは「使用時に行われる必要がある」としている。対して、クラブツリー=アイルランド氏は金曜日の午後の声明で以前の表現を支持していると述べ、「AMPTPの最新の発表については、その文書を確認した後で対応します」と話した。