【7/19】ハリウッドストライキ最新ニュースまとめ

5月から全米脚本家組合(WGA)が、そして7月に入り映画俳優組合 - 米国テレビおよびラジオ芸術家連盟(SAG-AFTRA)もストライキを決行し、ハリウッド映画業界は歴史的瞬間を迎えようとしている。その分、様々な作品や世界中の映画製作・宣伝にも影響が出てきている。

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トム・クルーズ
Photo by Mike Coppola/WireImage トム・クルーズ
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5月から全米脚本家組合(WGA)が、そして7月に入り映画俳優組合 - 米国テレビおよびラジオ芸術家連盟(SAG-AFTRA)もストライキを決行し、ハリウッド映画業界は歴史的瞬間を迎えている。そんな中、様々な作品や世界中の映画製作・宣伝にも影響が出てきている。

トム・クルーズ、SAG-AFTRAにストライキ中の宣伝活動の許可を要請

Screen Dailyによると、『ミッション:インポッシブル/デッドレコ二ング PART ONE』が世界興行収入首位デビューを獲得したトム・クルーズは、ストライキが起こる前に、スタジオとSAG-AFTRAの交渉者に対し、ストライキ期間中も会員が自分たちのプロジェクトを宣伝できるようにするよう要請していたという。6月にZoomを通して、特にパンデミックの影響で劇場興行が回復しつつある今、宣伝活動は非常に重要であると訴えた。クルーズは本作の主演を務めるだけでなく、プロデューサーとしても製作に参加している。

SAG-AFTRA、スタジオとの未解決の交渉問題を明らかに

Photo by Rodin Eckenroth/Getty Images
AMPTPは声明の中で、SAG-AFTRAは両者の協議内容を「誤って認識」し続けていると述べたとThe Hollywood Reporterが報じている。AMPTPによると、一般的な最低賃金の増加について、SAG-AFTRAは新しい契約の最初の年に11%、2年目に4%、そして3年目に4%の賃金引き上げを求めていた。しかしスタジオとストリーマーは、全米監督組合(DGA)と合意した内容と同じ、3年間の契約でそれぞれ5%、4%、3.5%の引き上げしか提供しないと主張。これは過去35年の中で一番高い引き上げ率だという。また、組合員の報酬を増やす別の手段として、SAG-AFTRAは出演者が動画配信サービスで発生する加入者収入の一部を受け取ることを提案したが、これはAMPTPが完全に拒否したとのことだ。

また、生成AIの規制という重要な問題について、SAG-AFTRAはその提案とAMPTPの反応についてあいまいな表現を使ったとのこと。SAG-AFTRAは「パフォーマーのデジタル複製が作られた場合、もしくは彼らの声、顔、またはパフォーマンスがAIを使用して大幅に変更される場合に、人間が作り出した作品を保護し、事前に同意を得て公正な補償を求める包括的な規定を確立する」ことを求めており、対してAMPTPは「多くの重要な懸念に対処できず、主演者やエキストラ役者が彼らの仕事の大部分をデジタル複製に取って代わられる可能性がある」と主張した。

しかし、早期に暫定合意に達した分野もある。出演者に過度の負担をかけると主張する自己録画オーディションについて、スタジオとストリーマーは納期に関する妥協点を含め「すべてではないが、必要な規制のいくつかについて暫定的に合意した」という。また、出演者が無報酬で台本の翻訳を義務付けられるべきではないこと、そして「出演者が週ごとの残業代など、追加支払いを受ける権利を失うさまざまなスケジュールが発生する前に、出演者が最低限受け取らなければならない支払いを確認する」ことについても、双方が合意した。

ストライキ規則に違反することなく、俳優がまだ取り組めることとは?

The Hollywood Reporterによると、ストライキの規則に触れることなく、俳優たちが仕事を続けられる方法はいくつかあるとのことだ。

  • 民放作品
    多くのテレビ番組が、組合が定めた「ネットワークテレビ放送のための公正慣行に関する全国規約」(通称「ネットワーク規約」)に該当する。現在のネットワークコード協定は2024年6月まで有効で、昼間のドラマ、ゲーム番組、バラエティ番組、その他の台本なしのシリーズなどを対象としている。

  • CM
    テレビ、ラジオ、デジタルコマーシャルの仕事は、SAG-AFTRAがAMPTPと結んでいる契約とは別の契約でカバーされている。

  • テレビ・アニメーション協約およびニューメディア・アニメーション協約の対象となる番組
    テレビおよびニューメディア向けのエピソードおよび長編アニメーション番組が含まれる。ただし劇場公開用のアニメーション映画は含まれておらず、The Hollywood ReporterはSAG-AFTRAに声優に対するストライキ規定とどのように整合するかコメントを求めているとのこと。

  • 企業/教育プロダクション
    放送用ではないトレーニング・ビデオへの出演等で働くことができる。

  • 権利放棄または暫定契約を結んでいるプロダクション
    AMPTPに加盟していない独立系プロダクションは、SAG-AFTRAに製作継続のための権利放棄を申請することができる。主にインディペンデント映画に適用されるが、イエスの生涯を描いたTVシリーズ「The Chosen(原題)」も第4シーズンの最終週の撮影を終えるために権利放棄を受けた。

  • 低予算のプロジェクト
    予算5万ドル以下の短編映画、2万ドル以下で限定公開の実写“マイクロバジェット”作品、予算5万ドル以下のエピソードを持つ独立系ニューメディア作品、学生映画など。

  • スポンサーコンテンツ
    組合はCameo for Businessと契約しインフルエンサー契約を結んでいる。

  • オーディオ作品
    オーディオブックの録音、他言語から英語やスペイン語への吹き替え、ビデオゲームでの仕事、独立系ポッドキャストの司会や出演はすべて許可されている。

鈴木亮平がSAG-AFTRAストライキ参加者への支持を表明

Photo by John Nacion/Getty Images
俳優・鈴木亮平が、SAG-AFTRAのメンバーへの支持を表明したとSCREEN DAILYが報じている。

ニューヨーク・アジア映画祭(NYAFF)でスクリーン・インターナショナルのライジング・スター・アジア賞を受賞した鈴木亮平は、「ハリウッド俳優たちが自分たちの権利のために懸命に闘っている今、私たちアジアの俳優にとってもとても刺激的です。ですから私は、SAG-AFTRAのメンバー全員と彼らが闘っていることに敬意と支持を示したいと思います」とコメントした。

《伊藤万弥乃》

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伊藤万弥乃

伊藤万弥乃

海外映画とドラマに憧れ、英語・韓国語・スペイン語の勉強中。大学時代は映画批評について学ぶ。映画宣伝会社での勤務や映画祭運営を経験し、現在はライターとして活動。シットコムや韓ドラ、ラブコメ好き。