【カンヌ国際映画祭2023】役所広司出演作や、是枝裕和監督の『怪物』が正式出品。コンペ部門ラインナップ一覧

5月17日から26日にかけて開催される、第76回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門のラインナップ20作品+2作品が発表された。

グローバル マーケット&映画祭
Opening Ceremony - The 75th Annual Cannes Film Festival
Photo by Pascal Le Segretain/Getty Images Opening Ceremony - The 75th Annual Cannes Film Festival

昨年のカンヌ国際映画祭開会式の様子 Photo by Pascal Le Segretain/Getty Images

5月17日から26日にかけて開催される、第76回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門のラインナップ20作品(※)が発表された。

※4月25日に2作品追加され、合計22作品に。

映画祭の長年のディレクターであるティエリー・フレモー氏が、4月13日、パリのUGCノルマンディー劇場で行われた記者会見で、次期映画祭会長のイリス・クノブロク氏と共にオフィシャルセレクションを発表した。『ザ・スクエア 思いやりの聖域』と『逆転のトライアングル』2度のパルムドールを受賞したスウェーデンの映画監督リューベン・オストルンドが、今年の審査委員長を務める。

ScreenDailyによると、ウェス・アンダーソン、是枝裕和、ヴィム・ヴェンダース、ケン・ローチ、トッド・ヘインズなどの作品が選ばれている。コンペティション部門に出品された作品のうち、女性監督作品は過去最高の7本で、フランスのジュスティーヌ・トリエ監督の『ANATOMIE D’UNE CHUTE』、セネガル系フランス人のラマタ=トゥライ・シーイ監督の『BANEL E ADAMA』、チュニジアのカウテール・ベン・ハニア監督の『LES FILLES D’OLFA』など新進気鋭の女性映画監督作品が選出された。

ベトナム系フランス人のトラン・アン・ユン監督は、今回『La Passion De Dodin Bouffant』で初めてコンペティション部門に参加。ケン・ローチ監督はすでに2度のパルムドール受賞者で、映画祭史上初のハットトリックを達成する可能性がある。フィンランドのアキ・カウリスマキ監督は引退を示唆しながらも活動を再開し、悲喜劇『Fallen Leaves』をプレミア上映する。一方、ヘインズ監督は、2015年に『キャロル』で最後に登場したコンペティション部門に、ナタリー・ポートマン、ジュリアン・ムーア、チャールズ・メルトン主演で、結婚生活を試されるハリウッドカップルの物語を描いた『MAY DECEMBER』で戻ってきた。

日本からは、是枝裕和監督が昨年のコンペティション部門『ベイビー・ブローカー』に続き、最新作『怪物』でノミネートされた。パルムドールを受賞した2018年の『万引き家族』に続く快挙が期待されている。また、役所広司が出演し、渋谷区内の公共トイレを新しく生まれ変わらせるプロジェクト「THE TOKYO TOILET」を舞台に制作されたヴィム・ヴェンダース監督の『Perfect Days』も選出されている。

約10年前に『雪の轍』でパルムドールを受賞したヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督は『KURU OTLAR USTUNE』で戻ってくる。ウェス・アンダーソン監督の『ASTEROID CITY』にはトム・ハンクス、スカーレット・ヨハンソン、マーゴット・ロビーらが出演するため、会場がにぎわうことも予想される。

今のところ、マーティン・スコセッシ監督の『Killers Of The Flower Moon』はコンペティション部門外で上映されることとなっているが、フレモー氏は「コンペティション部門に入れたい映画です」と語っている。フレモー氏は、5月16日のキックオフに向け、今後数日から数週間のうちにさらに多くのタイトルが追加されることを示唆していたが、コンペティション部門では、ショーン・ペンと『レディ・プレイヤー・ワン』のタイ・シェリダンが出演するジャン=ステファーヌ・ソベール監督の『Black Flies』、コンペティション部門への参加が保留となっていたカトリーヌ・コルシニの『Le Retour』が追加された。

また、すでに発表されているように、マイウェン監督がジョニー・デップとタッグを組んだ『JEANNE DU BARRY』は、5月16日に映画祭のオープニングを飾る。

🎥コンペティション部門 作品名/監督名一覧

  • JEANNE DU BARRY/マイウェン

  • CLUB ZERO/ジェシカ・ハウスナー

  • THE ZONE OF INTEREST/ジョナサン・グレイザー

  • FALLEN LEAVES/アキ・カウリスマキ

  • LES FILLES D’OLFA/カウテール・ベン・ハニア

  • ASTEROID CITY/ウェス・アンダーソン

  • ANATOMIE D’UNE CHUTE/ジュスティーヌ・トリエ

  • 怪物/是枝裕和

  • IL SOL DELL’ AVVENIRE/ナンニ・モレッティ

  • L’ÉTÉ DERNIER/カトリーヌ・ブレイヤ

  • KURU OTLAR USTUNE/ヌリ・ビルゲ・ジェイラン

  • LA CHIMERA/アリーチェ・ロルヴァケル

  • LA PASSION DE DODIN BOUFFANT/トラン・アン・ユン

  • RAPITO/マルコ・ベロッキオ

  • MAY DECEMBERトッド・ヘインズ

  • JEUNESSE/ワン・ビン

  • THE OLD OAK/ケン・ローチ

  • BANEL E ADAMA/ラマタ=トゥライ・シー

  • PERFECT DAYS/ヴィム・ヴェンダース

  • FIREBRAND/カリム・アイノズ

  • Black Flies/ジャン=ステファーヌ・ソベール

  • Le Retour/カトリーヌ・コルシニ

また、北野武監督最新作の『首』が「カンヌ・プレミア」に日本人監督初の出品となった。コンペティション部門以外の上映作品の一覧はこちらから確認できる。

※5月17日、追加作品を更新

《伊藤万弥乃》

関連タグ

伊藤万弥乃

伊藤万弥乃

海外映画とドラマに憧れ、英語・韓国語・スペイン語の勉強中。大学時代は映画批評について学ぶ。映画宣伝会社での勤務や映画祭運営を経験し、現在はライターとして活動。シットコムや韓ドラ、ラブコメ好き。