昨年アニメで大躍進の東映、2023年は実写作品に期待?グループ会社と共に世界にも挑戦

昨年2022年は『ONE PIECE FILM RED』や『THE FIRST SLAM DUNK』『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』など、大ヒット作品を次々と送り出した東映。配給の年間興収は325億円を記録と、2009年の最高記録(179億円)を大幅に塗り替え、なんと約1.8倍も最高記録を更新した。

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『聖闘士星矢 The Beginning』
©2023 TOEI ANIMATION CO., Ltd. 『聖闘士星矢 The Beginning』
  • 『聖闘士星矢 The Beginning』
  • 『シン・仮面ライダー』
  • 『レジェンド&バタフライ』
  • 『レジェンド&バタフライ』

昨年2022年は『ONE PIECE FILM RED』や『THE FIRST SLAM DUNK』『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』など、大ヒット作品を次々と送り出した東映。配給の年間興収は325億円を記録と、2009年の最高記録(179億円)を大幅に塗り替え、なんと約1.8倍も最高記録を更新した。


また、最終197億円を記録した『ONE PIECE FILM RED』は年間興収1位に輝き、配給としては32年ぶりの年間1位を獲得。他にも『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』が東映アニメーション作品初の全米1位を記録するなど、昨年2022年は東映とそのグループ会社にとってまさに大躍進の年となった

そして、今年2023年も東映のさらなる躍進を見られるかもしれない。

2023年は実写作品躍進の年に?

昨年大成功を収めたアニメーション作品とは対照的に、あまり芳しいヒットに恵まれなかった実写作品。全11作品中、10億円を越えた作品は一つもなく、TOP10入りすら叶わない作品も少なくなかった。『ハケンアニメ!』は日本アカデミー賞で多数ノミネートを集めるなど高い評価を受けてはいるものの、興収面では1.8億円を越えた辺りで上映終了となる劇場が相次いだ。

このように実写作品に関しては苦しい結果となった東映だが、今年はその実写作品に早くも躍進の動きが見え始めている。それが東映70周年を記念して制作された『レジェンド&バタフライ』のヒットだ。1月27日に封切られ、2月12日時点で累計興収は16億円を突破。昨年叶わなかった実写邦画作品の10億円越えを軽々と達成して見せた。
©2023「THE LEGEND & BUTTERFLY」製作委員会
それに加え『THE FIRST SLAM DUNK』ヒットの後押しもあり、今年1月の興収は1月の興行収入としては東映史上最高の数字をマークしている。そして今年は『レジェンド&バタフライ』にとどまらず、ヒットの期待できる作品が目白押しだ。

まずは3月公開の『シン・仮面ライダー』。『シン・ゴジラ』『シン・エヴァンゲリオン劇場版』『シン・ウルトラマン』に続く、庵野秀明監督の最新作となっている。これまで様々な特撮作品やアニメ作品が庵野監督の手によって新たに再生産されてきたが、これらの作品は特撮アニメのコアファンだけでなく、ライト層への訴求力もかなり強い。

ⓒ石森プロ・東映/2023「シン・仮面ライダー」製作委員会

元々『新世紀エヴァンゲリオン』シリーズで有名だった庵野監督だが、『シン・ゴジラ』の独特な世界観が多くの観客を惹きつけ、アニメファン以外の人気も獲得。その名を大きく広げ、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』では監督キャリア史上初の100億円を達成した。

そして今作『シン・仮面ライダー』も公開前から既にかなりの注目度となっており、先日公開された予告編はYouTubeの急上昇ランク1位、公開から5日で再生数は300万回を突破している。

また、前作が大きく話題となった『翔んで埼玉Ⅱ』も多くの注目を集めることになりそうだ。この作品はとにかく埼玉を“ディスる“ギャグを中心に構成されたコメディ作品で、そのカオスな作風がSNSなどで大きく話題となり、週末成績がオープニングから2週目にかけて右肩上がりとなる異例のヒットを記録した。一時主要キャラを演じるGACKTの無期限活動休止で制作がストップするも、昨年撮影が再開され2023年の公開が発表された。

他にもジャニーズJr.のHiHi Jets 井上瑞稀が主演を務める人気少女漫画の実写化作品『おとななじみ』や、なにわ男子の西畑大吾初主演のホラー作品『忌怪島/きかいじま』、King & Princeの岸優太の初主演作となるヤンキー青春漫画の実写化作品『Gメン』など、ジャニーズ主演の作品も豊富だ。

日本映画の枠を越え、世界に挑戦

今年は『レジェンド&バタフライ』や『シン・仮面ライダー』など高予算な実写作品にも挑戦した東映だが、グループ会社の東映アニメーション主導で『聖闘士星矢 The Beginning』ではハリウッド進出に挑戦する

コミックやそのアニメが世界でも人気を博している『聖闘士星矢』の実写化作品で主役の星矢を新田真剣佑が演じ、監督はNetflix世界視聴No.1を記録したドラマ『ウィッチャー』のメガホンをとったトメック・バギンスキーが務める。VFXには『マトリックス レザレクションズ』や『DUNE/デューン 砂の惑星』、『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』ほか、数々の人気作品を手掛けたDNEGなどが担当し、マーベル映画『シャン・チー/テン・リングスの伝説』のアンディ・チャンがアクションコーディネーターを務めているということで、かなり力の入った作品になっていることがわかる。

また、本作は日本・中国を除く国ではソニー・ピクチャーズが配給を行うことになっているが、100%日本出資で製作されている。

日本トップの配給会社である東宝もハリウッドに乗り出し『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』『名探偵ピカチュウ』『モンスターハンター』『ゴジラVSコング』などに出資を行っているが、あくまでも海外企業との共同製作出資にとどまっている。それらも踏まえると東映が全額出資を行い、ハリウッドの製作体制を敷いた上で巨額コストの作品制作を手がけるというのは、日本の映画業界にとってもかなり大きな賭けと言えそうだ

昨年2022年はアニメ映画の特大ヒットで大躍進となった東映グループ。2023年は実写映画で更なる躍進を見せるのか、ハリウッドへの挑戦も含め大いに期待したい。

『聖闘士星矢 The Beginning』

公開日:4 月28 日(金) 全国公開 
配給: 東映
©2023 TOEI ANIMATION CO., Ltd.

《タロイモ》

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中学生時代『スター・ウォーズ』に惹かれ、映画ファンに。Twitterでは興行収入に関するツイートを毎日更新中。