民放キー局の上半期決算が出そろった。
売上高はフジ・メディア・ホールディングス(以下:フジテレビ)が他社をリードしているものの、営業利益においては圧倒的な差をつけられている。利益面で独走しているのが日本テレビホールディングス(以下:日本テレビ)だ。
コロナ禍を経て、急速に利益率を高めているのがTBSホールディングス(以下:TBS)。テレビ朝日ホールディングス(以下:テレビ朝日)の健闘も目立つ。
そして注目すべきは、各社共同で立ち上げたTVerだ。驚異的に業績を拡大している。2022年7月にアプリは5,000万ダウンロードを突破した。テレビ局がタッグを組み、顧客視点で会社を成長させた好例と言える。見逃せない取り組みだ。
なお、ここで扱う売上高や営業利益は、各社メディア事業のものであることに注意してほしい。
Huluによる増収効果が働いた日本テレビ
新型コロナウイルス感染拡大により、広告費を抑制する動きが広がった。そのため、業界全体で2020年度に大幅な減収となり、2021年度はオリンピック効果も手伝って反動増、2022年度は揺り戻しで微減、あるいは横這いとなる会社が多かった。
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※各社決算短信より
しかし、2021年3月にセシールを売却したフジテレビは、減収が続いている。日本テレビとの差が縮まっており、2022年度上半期の売上高は7.3%ほどまで追い上げられている。2019年度上半期は36.4%も開いていた。追い抜かれるのは時間の問題だろう。
各社の強さは利益で比較した方がわかりやすい。
2022年上半期の日本テレビの営業利益は182億2,100万円。営業利益においては、フジテレビの3倍を稼ぎ出している。
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※各社決算短信より
フジテレビが売却したセシールは、2020年3月期の売上高が1,048億9,900万円、営業利益が4億4,900万円。営業利益率は0.4%だった。赤字事業とまではいかないものの、利益貢献の低い事業だったことは間違いない。しかし、フジテレビの2022年度上半期の営業利益率は3.1%で、売却前の2019年度上半期の営業利益とまったく変わっていない。
フジテレビは早期退職者の募集をかけた。人件費が削減されて2023年度は利益率が上がるはずだ。そこからの巻き返しが注目される。
ただし、この会社は経営体制に問題が残っている。