「ウエストワールド」などのHBO打ち切りコンテンツ、広告付き無料動画配信サービスへ移行か

ワーナー・ブラザース・ディスカバリー(以下ワーナー)は、HBO Maxから削除されたコンテンツをサードパーティのFASTサービス(※)に販売し、かつ同社はこの分野への参入を準備中であることが分かった。

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ワーナー・ブラザース・ディスカバリー(以下ワーナー)は、HBO Maxから削除されたコンテンツをサードパーティのFASTサービス(※)に販売し、かつ同社はこの分野への参入を準備中であることが分かった。

(※)FAST:Free Ad-Supported Streaming TV。広告入り無料動画配信サービスのこと。

レイズド・バイ・ウルヴス/神なき惑星」「ヘッド・オブ・ザ・クラス」「きみがぼくを見つけた日」など最近打ち切りとなったドラマ作品が最近ストリーマーから削除された。加えて、リアリティ番組の「Legendary」と「FBoy Island」も削除されたことが確認されている。ワーナーは、上記のような配信停止となった番組を含むパッケージを、サードパーティのFASTチャンネルに使用許諾を販売するためにまとめていることを明らかにしている。今週初めにHBO Maxからの撤退が発表されたワーナー・ブラザース・テレビジョンとHBO制作の「ウエストワールド」や「ザ・ネバーズ」といったシリーズも含まれるとのことだ。

ソニー・ピクチャーズ テレビジョンの「Gordita Chronicles(原題)」、Paramount Television Studiosの「メイド・フォー・ラブ」、パラマウント・グローバルの「The Garcias(原題)」、ライオンズゲート・テレビジョンの「Love Life and Minx(原題)」といった最近キャンセルされた作品の権利は、プロデューサーやスタジオに戻ることになり、ワーナーは「FASTプラットフォームへのシリーズのライセンス提供を含むが、それに限らず番組をさらに拡大する機会についてスタジオパートナーと話し合っている」と明かした。

FASTへ移行の準備をしている「ウエストワールド」シリーズのクリエイターであるジョナサン・ノーラン氏とリサ・ジョイ氏は声明で、「私たちは『ウエストワールド』とキャストとクルーの目覚ましい活躍を信じられないほど誇りに思っています」「私たちの番組に全く新しい視聴者を迎え入れる機会を得たことに興奮しています」と述べている。同社は、2023年に独自の“長期的なワーナーのFAST提供”に関する詳細を明らかにするとしている。

ワーナーは、35億ドルのコスト削減目標を達成するため、ここ数週間、HBO Maxから急速にコンテンツを引き抜いている。その他のコスト削減策として、同社はHBOとHBO Maxのスタッフの14%を解雇し、多くの予算をかけた『バットガール』をお蔵入りにし、北欧のHBO Max向けのローカルオリジナル作品の開発を中止。さらにHBO Max EMEA(ヨーロッパ、中東及びアフリカ)オリジナルチームを閉鎖する計画を立てている。

社長兼CEOのデヴィッド・ザスラフ氏は、先月の決算説明会で、この大幅な変更を擁護し「この会社を再編するのは大変なことですが、本当に勇気のいることです。この10年半、会社の再編と将来への再構築は行われていない」と述べた。さらにカットされたコンテンツについては「私たちは、私たちの助けになるような番組を1つもプラットフォームから外しませんでした。プラットフォームから外すことで、それらの番組をより成功する可能性のあるコンテンツに置き換えることができるのです」と述べた。


また、同社は今週、税引き前の再編費用の合計予測を大幅に引き上げ、41億ドルから53億ドルの範囲になると予想していることが証券取引委員会への提出書類で明らかになった。上方修正された見積りのほぼすべては、コンテンツの評価減によるものだ。前回の予想では、「コンテンツの減損及び開発費の償却費として約20-25億ドル」を計上していた。今回、この数字を28-35億ドルと予想している。

Sources:VarietyTBI Vision
《伊藤万弥乃》

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伊藤万弥乃

伊藤万弥乃

海外映画とドラマに憧れ、英語・韓国語・スペイン語の勉強中。大学時代は映画批評について学ぶ。映画宣伝会社での勤務や映画祭運営を経験し、現在はライターとして活動。シットコムや韓ドラ、ラブコメ好き。