合併後のワーナー・ブラザース・ディスカバリーの業績が振るわない。ディスカバリーとの統合前と比較して株価は半減している。
2022年3Q(7-9月)の売上高は98億2,300万ドルだった。前年同期間の31億5,000万ドルから大幅に増加しているが、これは合併前の数字であり、単純には比較ができない。
ワーナーは統合前の数字と比較ができるよう、プロフォーマ情報を公開している。プロフォーマとは、企業結合が期首に完了したと仮定したときの概算値だ。これにより、ワーナーの今の状況をより詳細につかむことができる。
■ワーナー・ブラザース・ディスカバリー2022年3Q業績
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プロフォーマをもとに売上高の増減を比較すると、2022年3Qの売上高は実績値と概算値の比較で11%のマイナス。調整後EBITDAも9%のマイナスだ。調整後EBITDAとは、営業利益に減価償却費と本業以外の営業収益、費用を除外したもの。つまり、本業でどれだけキャッシュを稼いだのかを見るものだ。
つまり、ワーナーは売上及び本業の稼ぎを前年同期間と比較して落としていることになる。
事業別に細かく見て行こう。
コロナ禍からの反動減に悩まされる
ワーナー・ブラザース・ディスカバリーの事業は大きく3つに分かれている。
・Studios Segment:ワーナーブラザース
・Networks Segment:ディスカバリー、CNNなど
・Direct-to-Consumer Segment:HBO
注目のポイントは全事業において売上高を落としていることだ。
Studios Segmentの売上高は前年同期間比(実績値と概算値の比較)5%減の28億8,400万ドル。EBITDAは同37%増の7億6,200万ドルだった。
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主力のコンテンツの売上高が1割近く縮小している。2021年は新型コロナウイルス感染拡大でホームエンターテイメント(ホームビデオ配給部門)の売上高が急伸したものの、コロナ特需の終焉とともに減少に転じた。また、コロナ禍で劇場公開作品数に限りが出たため、ホームビデオとして供給できるタイトルそのものが減少した影響も出ている。
映画館への配給においては、『エルヴィス』『DC がんばれ!スーパーペット』、配信ドラマの「サンドマン」が堅調。ただし、事業全体の業績を押し上げるほどの力にはなっていない。
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原価は14%、販管費は21%減少している。売上高が減少してもEBITDAが37%増加しているのは、コストカットが奏功しているため。経費や予算を切り詰めて事業を進めている様子が伝わってくる。
Networks Segmentの売上高は前年同期間比14%減の19億4,400万ドル、EBITDAは3%減の26億3,000万ドルだった。ディスカバリーを中心としたネーブルネットワーク事業は売上高を1割以上落としている。主力の広告収入が14%減少したことが事業全体の業績に響いた。
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2021年は東京オリンピックが開催されるなど、広告収入が得やすい状況だった。2022年は目玉となるイベントがなく、視聴者の減少に苦しんでいる。
Networks Segmentは原価を20%、販管費を11%も削減している。2桁削減してもEBITDAを増加させるほどのインパクトはなかった。EBITDAは3%の減少だ。