会員の4人に1人が米国外、2029年からはYouTubeで世界配信。アカデミー賞CEOビル・クレイマーはなぜオスカーを変え続けるのか。

2022年に映画芸術科学アカデミー(AMPAS)のCEOに就任して以来、ビル・クレイマー氏はアカデミー賞の改革を進めてきた。会員の国際化、国際長編映画賞のルール改正、そしてYouTubeでの配信への移行。“ハリウッドの祭典”は、どこへ向かおうとしているのか。東京国際映画祭に合わせて来日したクレイマー氏に話を聞いた。

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ビル・クレイマー氏
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  • 会員の4人に1人が米国外、2029年からはYouTubeで世界配信。アカデミー賞CEOビル・クレイマーはなぜオスカーを変え続けるのか。
  • 東京国際映画祭にて、東宝・松岡宏泰社長(右)とセミナーに登壇するビル・クレイマー氏(左)

2022年に映画芸術科学アカデミー(AMPAS)の最高経営責任者(CEO)に就任したビル・クレイマー氏が、第39回東京国際映画祭に合わせて来日した。目的は、アカデミーのグローバル化と今後の計画をテーマにしたパネルディスカッションへの参加と、日本やアジアの会員との交流イベントの開催だ。

クレイマー氏はCEO就任以降、米国外の会員拡大を推し進め、国際長編映画賞でも多くのルールを見直した。そして、2029年の第101回アカデミー賞からは、長年続いたABCでの放送を離れ、YouTubeで世界に無料配信される予定だ。会場も、ドルビー・シアターからAEG(アンシュッツ・エンターテインメント・グループ)が運営するロサンゼルス(LA)・ダウンタウンの劇場(現ピーコック・シアター)へ移る。

会員の国際化から、国際長編映画賞の改革、全ノミネート作品の鑑賞義務化、YouTube配信、会場移転まで。アカデミーのトップに、オスカー改革の狙いを聞いた。

会員の4分の1が米国外に。アカデミーは「映画界の鏡」

――2022年にCEOに就任して以来、会員の国際化や国際長編映画賞のルール変更など、さまざまな改革を進めてきました。

クレイマー:アカデミーは、映画コミュニティを映す鏡です。映画業界とそのコミュニティは、ますますグローバルになっています。映画は世界中で作られ、人々は自国以外の映画を以前よりも多く観るようになりました。この5年間で、その傾向はさらに強まっています。また、米国外の多くの映画人がアカデミー会員になることに関心を持っていることがわかってきました。そこは私たちにとっての成長領域であり、業界の成長と変化を反映するものでもあります。

ここ数年で会員構成が大きくグローバル化したのは、そうした背景からです。その一環として、私たちは世界各地の映画祭を訪れています。インドのゴア、釜山、モレリア、マラケシュ、もちろんカンヌやトロントにも行きました。そして今回、東京に来られて本当にうれしく思っています。会員たちが暮らし、働いている場所で、直接会う。世界中の会員のもとへ足を運ぶことはとても大切で、それも私たちの仕事の一部なんです。今回、日本で会員向けのイベントを開催し、日本とアジア在住の会員たちを招待しています。

――今年は、新会員の半数以上が米国外からだったそうですが、アカデミーはもはや米国だけでなく、世界の映画人のための組織だということですか。

クレイマー:そうです。現在、会員の約25%が米国外の人たちです。10年前、その割合は5~6%ほどでした。

ただ一つ申し上げると、アカデミーはもともと、米国外の映画に強い関心を持ってきた組織でもあります。私たちは映画関連では世界最大のコレクションを持っています。小道具、衣装、脚本、写真など、映画づくりにまつわるあらゆる資料を、米国外の映画人のものも含めて集めてきたんです。実はつい最近も、小津安二郎監督の資料の寄贈を受けました。

博物館も国際的な視点を大切にしています。これまでにペドロ・アルモドバルや宮﨑駿の展覧会を開いてきましたし、上映会でも、日本映画、イタリア映画、アフリカ映画など、あらゆる地域の作品を取り上げています。

――米国外の会員をどこまで増やしたいと考えていますか。

クレイマー:数値目標は設けていません。私たちはただ、世界の映画づくりのコミュニティを反映した組織でありたいだけです。とはいえ、米国外の会員が大きな成長領域であることは確かで、今後数年でさらに増えていくでしょう。

――会員のグローバル化は、アカデミー賞の結果にどのような影響を与えていますか。

クレイマー:前回(第98回)はすべての部門に国際的な顔ぶれが入りました。作品賞でも米国外の作品がノミネートされることが増えてきました。この流れは、今後も続いていくと思います。

国際長編映画賞の改革と、東京国際映画祭への期待

――国際長編映画賞の改革についてお聞きします。この部門には近年、特に多くの変更が加えられていますが、その意図はなんでしょうか。

《杉本穂高》

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杉本穂高

Branc編集長 杉本穂高

Branc編集長(二代目)。実写とアニメーションを横断する映画批評『映像表現革命時代の映画論』著者。様々なウェブ媒体で、映画とアニメーションについて取材・執筆を行う。

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