2026年10月7日に開催された「VR FORUM 2026」で、セッション「『広さ』と『アツさ』の両立による、スポーツコンテンツの新たな価値モデル」が行われた。登壇したのは、日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)チェアマンの野々村芳和氏、DAZN Japan CEOの笹本裕氏、電通 執行役員の石渡弥氏の3人。モデレーターはビデオリサーチの鈴木康啓氏が務めた。
今年8月にシーズン移行を果たしたJリーグ、FIFAワールドカップ全104試合を配信したDAZN、そして両者と連携する電通。3者の話から見えてきたのは、放送と配信が競い合うのではなく補い合う、新しいスポーツビジネスの姿だった。

J2・J3が世界上位に。Jリーグ「再成長」の現在地
1993年に10クラブで開幕したJリーグは、34年目の今、J1からJ3まで60クラブを抱えている。入場者数はコロナ禍でいったん落ち込んだものの、2025シーズンのリーグ全体の総入場者数は1,350万人で、2年連続の歴代最多となった。平均入場者数もJ1が21,246人、J2が8,888人、J3が3,760人で、3カテゴリーすべてが歴代最多を記録している(J3は2年連続)。
目を引くのは、成長がJ1だけにとどまらない点だ。野々村氏は「J1の平均入場者数は、まだ世界の5本の指には届いていない。しかしJ2は世界でもトップ5に入るぐらいで、J3は3部リーグとして世界で3番目に多くの人を集めている」と明かし、「これは日本らしいと思う」と語った。

好調の背景にあるのが、上図の成長サイクルだ。メディアへの露出が増えて関心が高まると、スタジアムの入場者数や試合中継の視聴数が伸び、物販や飲食の売上も上がる。すると協賛や放映権の価値が高まり、リーグやクラブはその収入をチームの強化やスタジアムなどの設備に回せるようになる。ピッチ上の水準が上がれば、コンテンツとしての価値もさらに高まる。野々村氏は、選手やスタジアムへの投資から始めてもこの循環は回りうるとしたうえで、「Jリーグとしてはメディアにまず圧倒的な投資をしようということ」だと説明した。好きな人が自分から情報を取りに来るのを待つのではなく、「生活の中でふとした時に、気づかないうちにサッカーに触れている」環境を、地域のメディアと一緒につくってきたという。
シーズン移行についても手応えを口にした。猛暑の6、7月に試合をしなくなったことで、実際にプレーしている時間を示すアクチュアルプレーイングタイムは、昨年より1試合あたり約3分伸びた。強度を示す数値も全カテゴリーで上がっている。









