自民党政務調査会の文化立国調査会は6月12日、高市早苗総理に対し、『「日本文化を、強く豊かに。」~文化立国実現に向けた国家戦略の構築~』と題する提言を提出した。
この提言は、日本の文化芸術を単に保護・振興する対象としてではなく、経済成長や地域活性化、インバウンド、ソフトパワーを生み出す源泉として捉え直すものだ。そのうえで、国家戦略として投資を拡大すべきだと訴えている。なかでもマンガ、アニメ、ゲーム、音楽、実写映像、映画などのコンテンツ産業については、日本の「勝ち筋」と位置づけ、海外展開、人材育成、知財戦略への支援を強化する姿勢を明確にした。
あくまで自民党の調査会による提言であり、政府方針や予算措置として確定したものではない。今後、政府の成長戦略や予算編成、関係省庁の制度設計にどう反映されるのかが焦点となる。
全体像:文化芸術を「成長投資」分野として位置づける
提言の大きな特徴は、文化芸術を「支出」ではなく「投資」として扱っている点にある。
外食、観光、コンテンツ、スポーツ、教育、放送、アート関連市場などを含む文化関連産業の規模について、提言は約100兆円に達するとの見方を示している。日本最大級の産業である自動車関連産業を上回る可能性がある規模として紹介されている。
そのうえで、日本の文化芸術への官民投資は諸外国に比べて「なお少ない」と指摘する。文化を日本経済全体の成長を促す起爆剤にするため、文化庁予算については2030年度までに年間4,000億円を目指すべきだとしている。
提言が掲げる柱は、大きく3つある。
文化芸術がけん引するコンテンツ産業を通じた成長戦略の実現
文化財や地域文化を活用した「地域未来戦略」、すなわちインバウンド拡大や地方創生の推進
国立劇場、博物館、美術館、劇場・音楽堂など、多様で豊かな文化芸術を生み出す土壌の抜本的強化
このうち、映像・コンテンツビジネスに関わる事業者にとって特に注目されるのは、第一の柱であるコンテンツ産業への支援拡充だ。
単年度支援から複数年度支援への転換を重視
政府はすでに、コンテンツ産業の海外売上高を2033年までに20兆円にする目標を掲げている。今回の提言は、その達成には人材の質と量をともに高めることが欠かせず、従来とは異なる規模の支援策が必要だと主張している。
具体的には、クリエイター支援基金を含むコンテンツ関連予算について、政府全体で5年間に5,000億円以上の予算措置を確保すべきだとしている。令和8年度当初予算および令和7年度補正予算により、政府全体のコンテンツ関連予算は初めて500億円を超えたとされる。それでも提言は、諸外国と比べれば十分とはいえないとの認識を示している。
特に重視されているのが、単年度支援から複数年度支援への転換である。

