インドネシア最大級の映像見本市「JAFF Market 2025」閉幕、経済効果は前年比8.5倍の1,300億ルピア超を記録

インドネシア最大級の映像見本市「JAFF Market 2025」が盛況で閉幕し、経済効果は前年比8.5倍の1300億ルピア超に達した。

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出典:JAFF Market
出典:JAFF Market

インドネシア・ジョグジャカルタで開催された映像コンテンツ見本市「JAFF Market 2025(Jogja-NETPAC Asian Film Festival Market)」が2025年11月29日から12月1日にかけて開催され、盛況のうちに閉幕した。主催者の発表によると、本年度の同マーケットによる国への経済効果は総額1,300億ルピア(約12億円相当)に達し、2024年実績の8.5倍という記録的な成長を遂げた。


3日間で約260万ドルの商談成立、参加企業数は140社超へ拡大

第2回目となる本年度のJAFF Marketは、インドネシアおよびアジア太平洋地域のスクリーン産業を繋ぐハブとして機能し、3日間で7,784名の来場者を記録した。会場となったジョグジャ・エキスポ・センター(JEC)には116のブースが設置され、142社以上の企業が参加。メディア関係者も296媒体、347名のジャーナリストが現地入りし、注目度の高さを裏付けた。

ビジネス面での成果も顕著であり、期間中に成立した取引総額は約260万米ドルにのぼった。また、アワード等の授与総額は1,080億ルピア以上となった。

アジア太平洋の戦略的ハブへ、日本や台湾など国際的な連携が加速

本年度は、マレーシア、シンガポール、フィリピン、タイに加え、日本、台湾、オーストラリアなど近隣諸国からの参加が増加した。JAFF Marketは、インドネシア国内のみならず、アジア太平洋地域全体の戦略的なミーティングポイントとしての存在感を高めたといえる。

パートナーシップにおいては、インドネシア文化省(Kemenkebud)、創造経済観光省(Kemenekraf)といった政府機関に加え、Netflixや在インドネシア・フランス大使館などが主要パートナーとして名を連ねた。また、国際パートナーとして、韓国映画振興委員会(KOFIC)、日本のVIPO(映像産業振興機構)、東映、日活などが協力しており、国際的な共同製作や人材交流を促進するプラットフォームとしての機能が強化されている。

ベルリン国際映画祭アドバイザーのジン・パーク氏は「地域産業の専門家が集う活気ある場であり、第2回目にしてローカルと東南アジア地域の焦点のバランスが取れている」と評した。

次回は2026年11月開催、人材育成と企画開発支援も継続

本マーケットでは、商談機能に加え、企画マーケット「JAFF Content Market (JCM)」や、人材育成プログラム「JAFF Future Project (JFP)」、カンファレンスなど多岐にわたるプログラムが実施された。これらのプログラムは、Amar BankやVisinema、各国の映画機関等の支援により、開発助成金やポストプロダクション支援、国際的な機会を映像作家に提供し、単なるプロジェクト支援にとどまらないキャリア形成の後押しを行った。

次回の「JAFF Market 2026」は、2026年11月28日から30日の3日間、同じくジョグジャ・エキスポ・センター(JEC)にて開催される予定だ。

※通貨換算レートは記事作成時点の概算値。

《杉本穂高》

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杉本穂高

Branc編集長 杉本穂高

Branc編集長(二代目)。実写とアニメーションを横断する映画批評『映像表現革命時代の映画論』著者。様々なウェブ媒体で、映画とアニメーションについて取材・執筆を行う。

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