一般社団法人日本アニメフィルム文化連盟(NAFCA)は、2025年11月29日に開催する第3回「アニメータースキル検定(アニ検)」の申し込み受付を9月16日より開始した。今回の検定では、アマチュアからプロへの移行を円滑にするための新たな等級として「準4級」が新設される。これは、過去の検定結果から明らかになったスキル習熟過程における課題に対応するものだ。
プロへの“橋渡し”、放映レベルのトレス技術を測る「準4級」
新たに設けられる「準4級」は、アニメーターとしてプロレベルを目指す上で重要な“橋渡し”と位置づけられている。これまでの検定は、エントリーレベルの6級・5級と、プロレベルの4級以上で構成されていた。しかし、5級から4級へのステップアップには技術的な隔たりが大きいことが指摘されていた。
準4級では、プロの仕事で必須となる「放映に耐えうる精度」のトレス技術を重点的に検定する。タップ割り(動きの軌道やタイミングの指示)といった応用技術に入る前段階として、複数枚の難易度が異なる原画を制限時間内に正確にトレスする能力が問われる。プロになるためには200時間以上のトレス練習が必要とも言われており、準4級の設置は学習者が目指すべき方向性を明確にし、効率的なスキルアップを促す狙いがある。

浮き彫りになった「5級の壁」、人材育成の課題解決を目指す
準4級新設の背景には、過去2回の検定で明らかになった受検者の課題がある。第1回、第2回検定において、6級の合格率がそれぞれ85%、75%と高水準だったのに対し、5級は40%、29.5%と急激に低下する傾向が見られた。NAFCAは、この原因が特に「中割りを支えるトレス線の安定性」にあると分析しており、多くの受検者がこの「5級の壁」で足踏みしている状況だ。
これまで4級から課題に含まれる予定だった「放映できるトレス」の技術を、準4級として独立させることで、基礎となるトレス線をプロレベルまで引き上げるための具体的なステップが示されたことになる。また、学習をサポートするため、お手本となる原画と動画を収録した「準4級向け素材集」も制作され、2025年10月初旬にAmazonで発売される予定だ。
11月29日に全国5都市で開催
第3回アニメータースキル検定は、2025年11月29日(土)に東京、大阪、名古屋、福岡、新潟の全国5都市で一斉に開催される。申し込み期間は9月16日から10月20日までとなっている。今回実施されるのは、トレス・タップ割り検定の6級、5級、そして新設の準4級である。
本検定の大きな特徴は、全ての受検者の回答を現役のプロアニメーターや動画監督が採点し、個別のフィードバックを返送する点にある。これにより、受検者は自身の強みや弱点を客観的に把握し、次のステップに繋げることができる。NAFCAは本検定を通じて、アニメ業界全体の技術力向上と、未来を担うクリエイターたちの育成に貢献していく構えだ。
【第3回アニメータースキル検定 実施概要】
名称: アニメータースキル検定(略称:アニ検)
申し込み期間: 2025年9月16日(火)~10月20日(月)
開催日時: 2025年11月29日(土)12時30分開始予定
開催場所: 東京、大阪、名古屋、福岡、新潟
実施内容: トレス・タップ割り検定6級、5級、準4級
検定料金:
6級:7,200円(U-18割 6,700円)
5級/準4級:9,600円(U-18割 9,100円)
詳細・申し込みサイト:https://aniken.sikaku.gr.jp/