NAFCA、アニメーター向け教科書の英語版を発売

NAFCAは日本アニメの動画技術を解説した教科書の英語版を2025年8月に発売する。世界中のアニメーター志望者やファンに向けて、日本の「動画」技術を体系的に伝える試み。

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一般社団法人 日本アニメフィルム文化連盟(NAFCA)は、日本のアニメ制作技術の基礎を解説した「アニメータースキル検定 トレス・タップ割検定 6、5級教科書」の英語版を2025年8月15日に発売する。米国のAmazon.comでも同時に販売を開始し、世界中のアニメーター志望者やファンに向けて、日本の「動画」技術を体系的に伝える試みだ。

国内で1万部ヒットの「動画」指南書を海外展開へ

この教科書は、NAFCAが主催する「アニメータースキル検定」の公式教材だ。日本語版は2024年9月の発売以降、プロのアニメーターから「新人の時に欲しかった」と高い評価を受け、専門書としては異例の累計発行部数1万部を記録した。今回の英語版は、その内容を忠実に翻訳したものだ。近年は、海外在住のアニメーターが日本アニメの制作に参加するケースが増加しており、日本アニメの根幹を支える作画技術と知識の共有の必要性が増している。

書籍では、アニメーターの職務内容や制作工程(ワークフロー)といった基本情報から、作画の基礎となる「原画トレス」や「目パチ・口パク」の具体的な手順、タイムシートの読解方法までを網羅的に解説。第一線で活躍するプロフェッショナルの知見が凝縮されており、アニメーター志望者のみならず、制作進行や監督を目指す人材、さらには作品をより深く理解したいと考えるファンにとっても貴重な資料となるだろう。

アニ検とは

NAFCAは、日本のアニメ業界が直面する人材育成機能の低下という課題に対処するため2024年から「アニメータースキル検定(アニ検)」を開始。同検定は、アニメーターのキャリアの土台となる「動画」工程に特化し、その技術と知識を客観的に評価・証明する取り組みだ。

全ての答案を現役の動画監督やプロのアニメーターが直接採点し、一人ひとりに具体的なフィードバックを返す。これにより、受検者は自身の技術レベルを正確に把握し、次のステップに進むための具体的な指針を得ることができる。

この検定と連動する形で制作された教科書は、単なる技術解説書にとどまらない。業界が長年培ってきた作画技術を標準化・体系化し、次世代に継承するためのツールと位置づけられる。日本語版の成功は、こうした体系的な学習機会への強い需要を示したと言える。今回の英語版発売は、この育成システムをグローバルに拡張し、国籍を問わず才能ある人材を発掘・育成する狙いがあると見られる。

アニメ技術の体系化とグローバル化を推進、NAFCAが目指す業界の未来

本書の監修には、『機動戦士Ζガンダム』や『ポケットモンスター』シリーズなどで動画検査を務めた江山梨恵氏、『マクロス』や『北斗の拳』シリーズに参加してきた福井智子氏といった、業界の重鎮が名を連ねる。長年の経験に裏打ちされた実践的なノウハウが詳細に解説されている。

また、江山氏とアニメーターの小池智史氏の対談、福井氏のインタビュー、平松禎史氏・声優咲野俊介氏と甲斐田裕子氏らによる鼎談など、多様な視点からのインタビューも収録しており、技術面だけでなく、クリエイターとしての心構えやキャリアについて考えるきっかけも提供する。

2023年に設立されたNAFCAは、「アニメに未来があることを信じたい」というスローガンの下、プロデューサー、監督、アニメーター、声優といった多様な職種の業界関係者が連携し、業界全体の課題解決を目指す団体だ。アニメ制作の根幹を支える「動画」技術の教育体系を確立し、それを世界に広げる今回の取り組みは、日本アニメの国際的な競争力を維持・向上させ、持続可能な産業構造を構築するための重要な一歩となるだろう。NAFCAは今後も、人材不足をはじめとする諸問題に対し、多角的なアプローチで貢献していく方針だ。

《Branc編集部》

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