「映画館へふらっと立ち寄る文化をつくりたい」41分の『〇〇式』を劇場展開するNOTHING NEW林健太郎と近藤亮太監督が語る中編映画の可能性

短編オムニバス映画『NN4444』で異例のヒットを飛ばした新進気鋭の映画制作会社NOTHING NEWが、今度は41分の中編映画『〇〇式』を全国の映画館で公開する。近藤亮太監督と林健太郎プロデューサーに話を聞いた。

映像コンテンツ 劇場
左:林健太郎プロデューサー、右:近藤亮太監督
左:林健太郎プロデューサー、右:近藤亮太監督
  • 左:林健太郎プロデューサー、右:近藤亮太監督
  • 「〇〇式」林健太郎プロデューサー
  • 「〇〇式」近藤亮太監督
  • 「◯◯式」場面写真
  • 「◯◯式」場面写真

映画は約2時間、そんな常識に「短さ」で挑む企画が公開された。

短編オムニバス映画『NN4444』で異例のヒットを飛ばした新進気鋭の映画制作会社NOTHING NEWが、今度は41分の中編映画『〇〇式』を全国の映画館で展開する。

監督するのは、今年『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』で長編映画デビューを果たした近藤亮太。昨年は58分の『ルックバック』が大ヒット、黒沢清監督の45分の『Chime』も公開されるなど、通常の長編映画よりも短い作品にも注目が集まりつつある中、中編を意識的に劇場展開する意図は何か、近藤監督とプロデューサーの林健太郎氏に話を聞いた。


近藤監督は好奇心の強い人

――本作の企画成立の経緯をまずお聞かせください。

林:近藤監督とは9年前くらいに知り合いまして、いつか一緒に映画を作りたいですねとお話していたんです。三宅唱監督の映画講座で知り合ったんですよね。

近藤:横浜で開催されていたやつですね。自分は当時映画美学校に通っていて、三宅監督が講師をやっていたんです。そのつながりで横浜の一般講座にも参加していました。林さんは当時大学生でしたっけ?

林:そうです。僕は映画業界を志すいち学生としてその講座に参加していました。

近藤:それで、僕がホラー映画大賞を受賞したあたりから、また交流が復活して企画の話になったという認識です。

林:その頃、僕はちょうど前の会社を辞めてNOTHING NEWを立ち上げたばかりの頃でした。監督たちと本当に作りたいものを作るために会社を立ち上げたので、すごくいいタイミングでの再会だったんです。

――林さんは近藤監督をどう評価していますか。

林:すごくロジカルかつ、好奇心が強くてチャーミングな方です。今回の中編映画の公開も、普通ならそもそも公開できるのかと思うでしょうが、そういう疑問はぶつけてこないで、その枠組みでどうやったら面白くなるかという具体的な話から入るんです。映画を好きでいながら、新しい可能性も常に追求されている方という印象です。

近藤:僕は大喜利みたいなものが好きなんです。お題を出されるのが好きというか。単純に考えるのは楽しいですし。基本的にはホラーでさえあれば、どうすれば成り立つかは考えられます。これが中編でラブコメディやりましょうと言われたら、一旦持ち帰らせてくれとなるでしょうが(笑)。

――本作のコンセプトはどのように成立したのですか。

近藤:ホラー映画を作る時は1つ柱になるお題というか、コンセプトを探すんですけど、林さんとお話する中で「式典」というキーワードが出てきました。式典はフォーマットが確立されているものですから、逆に崩すこともできます。ホラー映画としては、そういう崩しやすいものがあると作りやすいんです。

例えば、結婚式ってかなり奇妙ですよね。いつの間にかしきたりが増えてたりしますし。ファーストバイトって風習は僕の子どもの頃からあったんだろうかとか。なくてもいいけど、それにのっとって進行することになっている。お葬式にも色々なしきたりとかやり方がありますよね。それに式典って知らない人が集まる場所でもあります。


《杉本穂高》

関連タグ

杉本穂高

Branc編集長 杉本穂高

Branc編集長(二代目)。実写とアニメーションを横断する映画批評『映像表現革命時代の映画論』著者。様々なウェブ媒体で、映画とアニメーションについて取材・執筆を行う。

編集部おすすめの記事