英BBC、番組・記事制作でのAI使用に新ガイドラインを設定

AI活用の透明性と倫理基準を強化する新たな取り組み

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英BBC、番組・記事制作でのAI使用に新ガイドラインを設定
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1月17日(金)、英放送局のBBCが、番組や記事制作で生成AI(人工知能)をいつ、どのように使用できるかについて、プロデューサー向けの新しいガイドラインを発表した。

Broadcast Nowによると、これまでに同局は、ラジオやポッドキャスト番組における字幕生成や、サッカーの試合などのライブテキストページ等でAIを使用しており、その用途は大きく増加している。そういった現状を踏まえ、BBCは新ガイドラインの3大原則として、「公共の利益を最優先に行動すること」、「クリエイターの才能と創造性を優先すること」、「AI技術の使用について、視聴者にオープンで透明性を保つこと」を掲げ、以下のような詳細事項を設けている。

1.透明性が重要

BBCは、視聴者の信頼を築いてAIの役割を理解してもらうために、番組でAIを使用している箇所を常に明示する必要があると強調。その開示方法は用途に応じて異なるとしている。

2.AIをニュースや時事問題のコンテンツ・事実調査に使用しない

その理由は、生成AIはインターネット上から情報を引き出すからだ。その中には不正確な情報や誤解を招く内容もあり、事実を報じるコンテンツに誤った情報が混入する可能性を防ぐことを目的としている。

3.AI運営グループが体制を監修

BBCの番組制作で、どのようにAIが使用されているかを監修するために、AI運営グループが結成された。BBC Naitonsでディレクターを務めるロドリ・タルファン・デイヴィス氏が議長を務める同グループは、さまざまな部門から引き抜かれた約10名で構成されている。

4.AI担当者がAIの個別使用について支援

AI運営グループは組織全体を幅広く監修するが、個別のAI使用には関与しない。代わりに「AI担当者」が任命され、さまざまな部門のチームや監査役にアドバイスを提供する。AI担当者は、AIアシスタントのMicrosoft Copilotやクリエイティブのための生成AI、Adobe Fireflyなどのツールを使用するトレーニングを受けている。

5.AI活用への慎重な姿勢と正当性の重視

BBCは、番組におけるAIの使用に慎重なアプローチを取っており、どのような用途であってもAIの使用には、視聴者の理解を深めるなどの正当な理由がなければならないとしている。

6.生成AIを使用する目的や方法の明確化

「生成AI」を使用する際には、その目的や方法を明確にし、関係者間におけるコミュニケーションや社内での適切な協議が重要であるとしている。これにより番組のクオリティを確保しつつ、生成AIの活用に伴うリスクの管理を目指す。

7.字幕・翻訳などでAI導入を拡大

BBCは、字幕やライブテキストページの作成や翻訳で生成AIの使用を拡大しており、Microsoft CopilotやAdobe Firefly、GitHub CopilotなどのAIツールを導入している。

BBCがAI使用に関する新ガイドラインを発表したことで、他のメディアも同様のルールを策定する動きが広まることも考えられそうだ。

《Hollywood》
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ロサンゼルスに11年在住していた海外エンタメ翻訳家/ライター。海外ドラマと洋画が大好き。趣味は海外旅行と料理、読書とカメラ。

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