10月16日(現地時間)、東宝が米国の映画配給会社GKIDSを買収したと発表した。
Varietyによると、ニューヨークとロサンゼルスを拠点とするGKIDSは、東宝の米国子会社Toho International, Inc.(以下、Toho International)の完全子会社となり、GKIDSの創設者であるエリック・ベックマン氏とデイヴ・ジェステッド氏は、それぞれCEOと社長として留任する。Toho InternationalはGKIDSの全株式を取得する株式譲渡契約を締結したが、その財務条件は明かされていない。北米を中心にアニメーション作品の製作と配給を手がけるGKIDSは、2009年公開の『ブレンダンとケルズの秘密』以来、アカデミー賞アニメーション部門の作品賞に13回ノミネートされた業績を誇っている。『風の谷のナウシカ』や『千と千尋の神隠し』など、スタジオジブリの北米配給会社としても知られ、第96回アカデミー賞で宮崎駿監督の『君たちはどう生きるか』が長編アニメーション部門で受賞を果たした。
東宝の国際市場における成長・拡大の加速が期待
GKIDSの買収により、東宝はToho Internationalのライセンシングやマーチャンダイジング、eコマース事業を補完する、確立された北米の劇場とホームエンターテイメントの配給・マーケティング・販売事業を獲得する。その拡大には、日本の制作会社やクリエイターを、海外のファンやクリエイターと結びつけるビジョンも含まれ、東宝の国際市場における成長・拡大の加速が期待されている。
Screen Dailyによると、対するGKIDSは独自のブランドと組織、経営陣を維持しながら、東宝が提供する、より大きな相乗効果と能力を活用できるようになる。ベックマン氏とジェステッド氏は声明で、『ゴジラ』や黒澤明監督の映画、『呪術廻戦』などの大ヒットアニメシリーズの本拠地である東宝と組むことで、北米や世界中の観客に、さらに素晴らしい映画を届けられることを嬉しく思うと発表。「アニメーションを映画芸術として推進し、このメディアが持つ可能性の限界を押し広げていくつもりです」と意気込みを語った。東宝でCEO・社長を務める松岡宏泰氏はGKIDSを買収した理由について、「GKIDSは勤勉さとビジョン、誠実さを通じて米国市場で独自の地位を築き上げており、これは東宝の強みと戦略的な使命と完全に一致しています」と述べている。また同氏は、「このパートナーシップにより、東宝はアニメーションを優先しつつ国際市場を開拓し、IP(知的財産)の創造をサポートするという目標に勢いをつけ、優れた日本の作品とアニメコンテンツを世界中の視聴者に届けることが可能になります」と語った。
東宝とGKIDSの提携により、これからのグローバル展開に期待ができそうだ。