売上高500億円達成で業績好調のヒビノ、旺盛な設備投資拡大の恩恵受ける【決算から映像業界を読み解く】#68

業務用映像・音響・照明機器の販売などを行うヒビノの業績が好調だ。

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【決算から映像業界を読み解く】#68
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業務用映像・音響・照明機器の販売などを行うヒビノの業績が好調だ。

2024年3月期(2023年4月1日~2024年3月31日)に連結売上高が初の500億円を突破。コンサートやイベント市場が急回復。更に顧客の活発な設備投資も続いており、都市再開発計画も進展して大型案件が増加した。今期に入っても勢いが衰える様子はなく、2025年3月期第1四半期(2024年4月1日~2024年6月30日)の売上高は、前年同期間比で25.8%増の116億6,200万円となった。

M&Aも活発に行っており、事業領域は拡大している。中長期的には海外売上高比率を高める計画を立てており、旺盛に拡大する市場をいかに掴むかがポイントとなる。

今期の第1四半期は黒字でスタート

ヒビノは業務用音響・映像機器等の輸入販売と施工を行う販売施工事業を柱とし、シネマコンプレックスやホール、大学施設などに向けた建築音響施工事業、ドーム・アリーナツアーなどの音響・映像サービスを提供している。

主力の販売施工事業が売上高のおよそ5割を占め、建築音響施工が2割、コンサート・イベントサービス事業が残り3割という売上構成になっている。

コンサートなどの大型イベントや映画の上映が軒並み自粛へと追い込まれた2021年3月期は40億円を超える営業赤字を出した。2023年3月期は東京オリンピック特需の剥落で減収。このころまでは停滞感が漂っていた。

しかし、2024年3月期に見事なV字回復を果たしている。売上高は前期比20.4%増の504億9,100万円、営業利益は2.3倍の28億1,400万円となった。営業利益率は5.6%。営業利益率が5%を超えたのは、2017年3月期以来だ。

決算短信より筆者作成

2025年3月期の売上高は前期比15.9%増の585億円、営業利益は同24.4%増の35億円を予想している。第1四半期の時点で、売上高に対する進捗率は19.9%、営業利益が6.3%。やや遅れをとっているようにも見えるが、ヒビノは業績が下期に偏重する傾向がある。前期の第1四半期の売上高に対する進捗率も同様の数字だったことに加え、営業利益は出ておらず、赤字からのスタートでもあった。今期は黒字スタートとなっていることからも、好調な滑り出しだと言えるだろう。

屋外広告の広告費は3年連続増加

足元の成長をけん引しているのが主力の販売施工事業だ。2024年3月期の売上高は前期比24.8%増の251億2,300万円、営業利益はおよそ2.7倍の11億9,400万円に急拡大している。

主な案件として、2024年6月に開館した品川区のシアターHの舞台音響設備、北海道文化放送とRKB毎日放送のデジタル・ミキシングコンソール設備、東京ドームシティのLEDディスプレイ・システム、新宿駅南改札内「新宿BBB(スリービー)」のLEDディスプレイ・システムなどを手がけている。特にLEDディスプレイ・システムの需要は大きく、JR駅構内、都市エンターテインメントシティ、首都圏新設アリーナ、企業ミュージアム、再開発ビル向けの大型案件を獲得している。

電通の「2023年 日本の広告費」によると、2023年の屋外広告費は2,865億円で前年比1.5%の増加。イベント・展示・映像広告は3,845億円で28.7%も増えている。屋外型広告の効果最大化に寄与するヒビノのサービスが、需要拡大の波に乗っていると言える。この事業領域では、中期的な成長にも期待できる。


《不破聡》

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