テレビ朝日ホールディングスが転換点を迎えている。
2023年3月2日に発表した「経営計画2023-2025」において、2025年度(2026年3月期)の連結売上高3,300億円達成という目標を掲げていたが、2025年3月期の売上予想は前期比0.36%増の3,090億円。増収ペースは鈍化しており、停滞感が漂っている。
主力のテレビ放送事業は高視聴率を獲得しているものの、減収が目立つようになっている。コロナ禍で番組制作費の削減に努めて利益率を高めたが、更なる削減が必要な局面に入ってきた。そのような状況下で、新タイプのアクティビストの対応に迫られている。
放送事業の不調を好調のインターネット事業がカバーしきれず
2024年3月期の売上高は前期比1.1%増の3,078億円、営業利益は同14.9%減の123億円だった。テレビ放送事業は減収減益。その他の事業で増収には持ち込めたものの、減益をカバーすることはできなかった。

※決算短信より筆者作成
ABEMAやTVerをはじめとしたインターネット事業は好調そのものだ。2024年3月期の同事業の売上高は、前期比13.0%増の287億6,100万円、セグメント利益は同61.9%増の22億7,200万円だった。セグメント利益率は7.9%。前年から2.4ポイントも上昇している。
サイバーエージェントや電通、博報堂などと共同出資し、テレビ朝日の持分法関連子会社であるAbemaTVは、「MLB(メジャーリーグベースボール)」などのスポーツ配信が好調で広告収入を伸ばし、四半期単体での黒字化を果たした。
テレビ朝日は2022年3月期までインターネット事業をその他事業の中に含んでいたが、2023年3月期からは事業単体での開示を行っている。成長に期待をかけているのは間違いないだろう。
テレビ朝日の視聴率そのものは良好だ。世帯視聴率の全日、ゴールデン、プライムの3領域でトップを獲得している。

※決算説明資料より
ドラマ「相棒」「特捜9」「刑事7人」の刑事ドラマを中心に5作品が民放連続ドラマ年間トップ10にランクイン。「ザワつく!金曜日」は2023年度のすべての放送回で同時間帯民放トップを獲得。
その他のバラエティー「マツコ&有吉 かりそめ天国」「池上彰のニュースそうだったのか!!」「ポツンと一軒家」、報道系の「報道ステーション」 「サタデーステーション」 「羽鳥慎一モーニングショー」 「大下容子ワイド!スクランブル」「グッド!モーニング」も同時間帯トップをとっている。
ドラマ、バラエティー、報道で高視聴率をマークしているのだ。
多額の番組予算を投じて高視聴率をとっても利益が減少するという現実
民放キー局に共通して言えることだが、高視聴率を獲得しても業績が上向かないというのが現実だ。広告の市場はインターネットに移行しており、スポンサーのテレビ離れが加速している。

※決算補足資料より筆者作成
2024年3月期のテレビ放送事業の売上高は、前期比1.3%減の2,296億円、営業利益は同37.7%減の59億円だった。この事業の売上高はコロナ禍の2021年3月期に大きく落ち込んだが、その後持ちなおしている。しかし、そこからは緩やかな減収が続いている。特にテレビ放送に欠かせない広告のタイム収入とスポット収入の減少が顕著だ。
テレビ朝日は2020年3月期に日本テレビに視聴率で水をあけられ、5%近い減収に見舞われた過去がある。848億円という多額の番組制作費をかけていたテレビ朝日は、その年の営業利益が4割以上減って70億円となった。この期の営業利益率は2.9%だった。

※決算補足資料より筆者作成
翌年のコロナ禍で番組制作費を21.0%抑制。経費削減効果が出て営業利益は前期の1.6倍となる110億円に回復した。営業利益率は5.2%まで高まっている。上のグラフを見ると、番組制作費は再び増加しているのがわかる。そして営業利益は削られているのだ。
多額の制作費を投じて高視聴率を獲得しても、利益を高めることにはならないことをよく示している。テレビ広告の市況の悪化を止めることができないのだ。
アクティビストが放送倫理の在り方を提案?
そのような中、寝耳に水ともいうべき出来事が起こった。政治権力のテレビ報道への介入に抗議する市民グループ「テレビ輝け!市民ネットワーク」がテレビ朝日ホールディングスの株式約4万株を取得し、4月8日に株主提案を行ったのだ。