TBSレトロスペクティブ映画祭が開幕、第一回は寺山修司特集

TBSのアーカイブからあまり観られる機会が作られなかった名作ドキュメンタリーを回顧し、デジタル修復して上映する「TBSレトロスペクティブ映画祭」。初開催となる今回は昭和のカルチャーをリードした寺山修司特集が行われ、初日と2日目には劇場に若い観客が多く集まった。

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佐井大紀氏、大島新氏(1日目)
佐井大紀氏、大島新氏(1日目)
  • 佐井大紀氏、大島新氏(1日目)
  • 大島新氏(1日目)
  • 宮台真司氏、佐井大紀氏(2日目)
  • 宮台真司氏、佐井大紀氏(2日目)
  • 佐井大紀氏(2日目)
  • 宮台真司氏(2日目)
  • 佐井大紀氏(2日目)
  • 宮台真司氏(2日目)

TBSレトロスペクティブ映画祭が4月26日(金)より開幕。初日と2日目にはトークセッションが行われた。

本映画祭は、TBSのアーカイブからテーマに合わせて作品を抽出、クリーニングを施し、大スクリーンで上映するという画期的な取り組み。TBSではテレビ黎明期から現在に至るまで、メディア論を根本から問う名作ドキュメンタリーが数多く制作されてきた。しかしそれらの多くは、放送後ほとんど視聴の機会に恵まれず、暗く冷たいテープ倉庫の中で今も静かに眠ったまま。そこで本映画祭を企画した映画監督の佐井大紀氏がいくつかのフィルムを取り出し、デジタル修復して世に再発表するという本映画祭を企画した。

【予告】TBSレトロスペクティブ映画祭 第1回寺山修司特集/時代を挑発した珠玉のテレビドキュメンタリー一挙公開!【2024年4月26日公開】

第一回となる今回行われるのは、昭和のカルチャーをリードした寺山修司特集。執筆から舞台、映画までマルチに活動した寺山修司氏だが、テレビとのかかわりも深く、テレビ史上に残る挑戦もいくつか行った。4月26日(初日)の最終回は『あなたは・・・・・』『日の丸』が上映され、上映後は2022年に『日の丸』のリメイク版『日の丸~寺山修司40年目の挑発~』を監督し、本企画のプロデューサーであるTBSの佐井大紀氏が、初日のゲストとして『国葬の日』など独自の視点で日本の政治と社会を見つめたドキュメンタリーを世に送り続ける大島新監督、4月27日(2日目)は社会学者の宮台真司氏を迎え、トークセッションが行われた。

1日目は、TBSドキュメンタリー史上最大の問題作といわれる『日の丸』が話題に。佐井氏は大島氏とのトークの中で「特に『日の丸』は、寺山はこの番組をして、【情念の反動化への挑戦】と言っています。きっと、ほとんどの人が疑いもなく信じている【幸せ】や【国】などの概念を揺さぶりたかったのだと思います」と寺山がこの取り組みに込めた想いについて語った。

そして宮台節全開でトークがスタートした2日目。宮台氏は「僕は(2022年11月に)襲撃されて救急車が50分来なかったんで、だんだん出血して死ぬかなっていうふうに思った時に、でもロシアやウクライナではこうゆうことを経験している人はたくさんいるんだろうなとぼんやり思ったりしていた。つまり、勝ったやつよりも、負けた奴の方が、病に倒れた奴が、あるいは傷を受けて倒れてた方が、全体を俯瞰する」「だから、さっきから話してきたような寺山のモチーフから言えば、勝った側に肩入れするとか絶対あり得ない。負けた側にしか本当のことはわからない」と、自身の経験も交えての寺山論を展開。トーク後も様々な質問が飛び交い場内は大いに盛り上がった。

「TBSレトロスペクティブ映画祭」

2024年4月26日(金)Morc阿佐ヶ谷ほか全国順次ロードショー

5月25日(土)~シネ・ヌーヴォ(大阪)
6月14日(金)~アップリンク京都(京都)
6月15日(土)~シネマスコーレ(名古屋)

上映作品:
『あなたは・・・・・』
『日の丸』
『中西太 背番号6』
『サラブレッドーわが愛―大障碍の記録―』
『勝敗 第一部・第二部』
『日の丸~寺山修司40年目の挑発~』
『カリスマ~国葬・拳銃・宗教~』

企画・プロデュース:佐井大紀
エグゼクティブ・プロデューサー:大久保 竜
プロデューサー:津村有紀
テクニカル・マネージャー宮崎慶太
製作著作:TBS
配給:TBS DOCS
公式HP:www.tbs.co.jp/TBS_DOCS

《Branc編集部》

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